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セカイイチ February 24, 2005

photo泉健太郎(Bass)「それまでは個々で違うバンドやってたし、個々の生活もバイトから何から全然バラバラで……」
岩崎慧(Vo&Gt)「まぁお互い、バイトで知り合ってもおかしくないくらいのバイト量でしたしね(笑)」
●出会った時はある程度、お互いの中で自分達の音楽性とかやりたいことはハッキリしてたんだ?
岩崎「いえ、そういうわけではなかったんですけど。結構ね、この二人(岩崎と吉澤響)で始めたんですけど、始まりは『試しに』みたいな感じやったんす。とりあえず『こいつカッコええな』って思ってて」
吉澤響(Dr)「僕は違うバンドでやってて。慧ちゃんは一人でずっと弾き語りしてて。何回も対バンすることがあって、お互い『いいなぁ』と思ってて……まあ相思相愛って言うんですか(笑)。お互い音楽的に凄くいいなぁって言ってて、でまぁ『スタジオ入ってみようや』みたいな感じで最初はやり始めて。それは本当に遊びやったんですけど、ある時ライヴに誘われて。じゃあ試しに一緒にやってみようか。二人でやってみたらどうなるかな』って言ってやったのが、“試し”ですね」
●歌&ギターとドラマーでしょ? その二人っきりで音鳴らし始めたの?
吉澤「そうなんですよ」
岩崎「だから最初、ライヴの形態としては縦一列だったんす(笑)」
●はははははは。
吉澤「被ったら見えへんから」
岩崎「写真とか見たら、響ちゃんが亡霊みたいになってる(笑)」
吉澤「だからセンターに慧が座ってアコギで弾き語りしてて、僕が後ろでドラム叩いてるっていう」
●バンド漫才みたいだねぇ。
吉澤「あはははははは」
岩崎「ま、トーク一切なしだったんですけど。二人とも喋らんかったから」
●岩崎くんは何をやりたくて、ドラマーだけを誘って音楽を始めたの?
岩崎「僕当時、弾き語りをしてたんですけど、弾き語りというものよりもっと向上したいというか。自分の実力とか技術とか、あと精神的にももっと上に行きたいなっていうのは思ってて。『それには何が必要やろ?』っていうことを考え出してたんですよ。で、一人でやってくことに対して、やっぱりそれだけではちょっと足らへんというか。そいで1回誰かとやってみたいなっていうのがあったんですよ。それが響ちゃんやったってだけの話で(笑)。カッコいいドラマーやし、『これでぶつかり合うとどうなんだろう? 混ざったらもっと面白いことができるんじゃないかな』と思って」
●その奇妙な形態でのライヴで摩擦は起こったんですか?
岩崎「摩擦…………まぁ、火がつかない程度に火花は散りましたよ」
●あははははは。客には見えないんだけど、青白い炎がぼーっと。
岩崎「はははははは」
吉澤「そうそう、内部で火種ができたっていうね(笑)」
●そこからどういうふうに進化していったんですか?
岩崎「そこからですね、僕がまた一人で……弾き語りで一人でやるライヴと響ちゃんと二人でやるライヴを、ほんまに一時なんですけど、両立してた時があって。その時、弾き語りのライヴで出会ったベースの女の子がいたんですよ。もの凄いベースを弾く人で、ただならぬものを感じて。で、声をかけたんですよ、『明日ライヴをやるから観に来てくれ』って。それで観に来てくれて。そこから『どうでしょう、入ってくれへん?』みたいな話になって。で、『うん、やろう』ってなって。結構ヴィジョンが見えてたみたいで、彼女はこの形態を見て、自分が入った時の想像ができたっつってて」
●ロックの絵が見えたわけね。
岩崎「そうそうそう。それで『やろうか』ってことになってやり始めたのが、このバンドのきっかけ」
吉澤「その3人が結構長かったんですよね。2001年の夏に3人でやり始めて、2002年の10月までやってたんですよ。で、その10月にうっちー(中内正之)が入ったんですけど。それもまたおかしな経緯で(笑)。そのベースの女の子が事情があって辞めなあかんみたいな話になってしまったんで、ベースを探そうってことになって。で、『対バンした中でカッコいいベースって誰やったっけ?』っていう話してたら、『うっちーカッコよかったよな』って話になって。それで『うっちーをベーシストとして迎え入れようや』ってことになって」
岩崎「(吉澤を指しながら)軍師・諸葛亮孔明としてね」
全員「はははははははは!」
吉澤「で、知り合いから連絡先を聞いてうっちーに電話したら、『ベースじゃなくてギターで入れてくれ』って」
●だってベースやってたんでしょ? 
中内正之(Gt)「そうっす」
●なんで?
中内「いやいやいや(笑)、もともとギターだったんですけど、その時は前のバンドで2年間くらいベースを弾いてたんですよ。2年間くらいやって僕はベースに飽きたんですよ」
●はははははは。
中内「で、そのバンドの解散を機に『やっぱギターでやろう』と思って。それで弾き語りを始めたんですけど、ちょうどその頃に電話がかかってきたんです。『ベースで入らんか?』って。『いや、もうベースはやめたし、ギターなら……』って言って、で『わかった、じゃあちょっと考える』ってことで響ちゃんも持ち帰って」
岩ア「でもね、その時に響ちゃんが『うっちーがギターで入りたいって言い出してる』って言って、僕『ああ、ええんちゃう?』って、めっちゃ二つ返事やったんですよ(笑)。全員二つ返事やった(笑)」
●それよくないじゃん。だって3ピース・バンドとして活動してて、それで1ピースが欠けてしまったから、低音をボーンって入れたかったんでしょ?
吉澤「そうです」
●違うピースじゃん!
中内「あはははは!」
●でも中内くんっていろいろやるんだね。
中内「えっ?」
●この前のパーティーでフリーマーケットやってたじゃん。
岩崎「それ音楽やないやん!(笑)」
中内「店主(笑)。でも何でもやりたがりですね。それの行く果てが、ベースではウッド・ベースでしたからね。今は(泉)健太郎氏が所有するウッド・ベース」
●あげちゃったんだ。
中内「いやいやいや、お金に換えてもらいました」
泉「買いました(笑)」
●メンバーに売るなよ!
泉「あはははは! いや、でもうっちーほんまにねえ、今まで楽器にお金かけたってことでは、このメンバーの中で確実にナンバー1ですよ」
中内「ほんまそうっすね。今もえぐいローン組んでますからねぇ、すごい尻尾長いっすねぇ」
●ははは。駆け上がって、早く回収していってくれよ。
岩崎「だからうっちーこそ成り上がりですよ(笑)。でまぁそれで、了承してくれたんですよ、『1回やってみようやー』って」
吉澤「その辞めるって言ってたベースの女の子には『もうちょっと待ってもらっていいかな?』って引き止めて、それで4人でスタジオ入ってみようかっていう話になってんな。で、僕ら3人(岩崎と吉澤と女性べーシストのこと)で出るライヴが決まってたんですけど、その前に4人でスタジオ入ってみたんですよ。そしたらこれがことのほか面白くて、凄い予想以上のものが……」
●膨らんじゃった?
吉澤「そうそうそう」
岩崎「あん時のうっちーは大人びてて、僕の目には。僕絶対27歳やと思ってたんですよ。ほんま27やと思ってて、スタジオ入って『うっちーって27なんすよねぇ?』話をしたら……」
中内「そん時22やったんですよ」
岩崎「『え!? そう見える?』みたいにちょっと嬉しそうに(笑)。『岩崎くんは何歳なの?』って(笑)。『俺19』みたいな」
中内「(笑)。またようわけわからんコード進行使うんすよ。テープをもらった時に『これどうしよう? 何弾いてるんかなあ?』と思て。『でもたぶん若かったはずやから俺も負けないように頑張んなあかんのちゃうか』ゆうて」
泉「まじめやねんな(笑)」
中内「そういう、まだ見ぬ人とのライバル関係みたいな」
岩崎「そうそうそう、そういうのは、たぶん二人で階段で練習してた時に垣間見たよな」
中内「3ピースやった時のセカイイチと、僕が前に組んでたバンドが対バンしたことがあって。凄いいいバンドやなって思ったんですよ。僕のバンドとは色が違うけどいいバンドやな、なんか行くんちゃうかなって。女の子も凄い若くてその時は女子高生だったんですけど、その歳では考えられない凄い腕を持ってて」
全員「ははははは!」
中内「(笑)それで凄いなぁ! と思ってて。でも僕が思い描いてるバンドっていうのは、凄いロック色が強かったんすよ。で、ちょうど誘われた時に、もしも僕がギターで入ったら、そのいい感じのままでロックの部分を合体できるかなと思って。そしたら最強になるんじゃないかと僕は思ってたんですよね」
●音と音がぶつかり合って衝動を起こして、激しくなっていくんじゃないかなってことだよね。
中内「そうそう。そうなったらいいなと思って入って。それで練習1発目が凄いよかったんですよ。で、その夜にセカイイチのライヴが入ってたんですよね。……『やってみんか』と」
岩崎「『バンドやろうぜ!』みたいなノリですよ、ほんとに。で、もうそこから一緒に移動して」
吉澤「ライヴ・ハウス行って、『3人で出るはずやったんですけど、今日から4人でやります』みたいな(笑)。それでライヴをしたんですよ」
●運命感じますね。
吉澤「そうですね(笑)」
中内「なんか『お茶会に行こうぜ』みたいなノリで行って。ほんとそれくらいの勢いで。初めて会ったんですけどね、その日に」
●で、その後、テクニックもルックスも素晴らしかった一つのピース(女性べーシスト)が残念ながら欠けてしまうわけですよね。
吉澤「そうですね。それがうっちーの入った3ヶ月か4ヶ月後なんですよ。2003年の1月には『もう無理や。どうしても辞めないかん』っていう形になって。まぁ引き止めてしまってたのでこちらからはもう何も言えないわけで」
岩崎「そうそう、快く送り出してあげた(笑)」
●快く送り出してないっつーの(笑)。延滞金払わないとダメだって。
全員「ははははは!」
吉澤「で、ベースどうしようかってなって。そこで出てきたのが健ちゃん(泉)なんですよね。健ちゃんとは、僕がセカイイチと並行してやってた別のバンドで2002年の年末に対バンしてて。健ちゃんはそのバンドのサポートでベースを弾いてたんですよ。だから僕は健ちゃんがその前のバンド辞めたの知ってたんで、『じゃあ彼を誘ってみるか』って」
岩崎「諸葛亮孔明が、こうまた、ね(笑)」
吉澤「(笑)で、僕がまた知り合いから健ちゃんの連絡先入手して電話して、『ウチ、ベースが抜けることになって。1回一緒にやってみん?』って言ってスタジオに入ったのが、2003年の2月とか3月とか。で、やっとこのメンバーが揃ったんですけど、健ちゃんは最初はサポートでやってくれてて。でも一番最初4人で入った時は本当に楽しくて」
●それは何が楽しかったんですか?
吉澤「もちろん健ちゃんにも音源を渡してて。『あの、これお願いします』みたいな」
岩崎「その時自主音源みたいの作っててん。やっとライン録りから上がったみたいな」
泉「いや、でも俺あん時もらったんライン録りやわ」
岩崎「あはははははは!」
吉澤「いや、あん時ラインと音源あげたで」
泉「いや、俺ラインのイメージしかないわ」
吉澤「いやいや、音源あげたって」
●えーーと、ヒビが入ってます。
全員「あははははは!」
吉澤「何しろ『やっといてもらっていいですか?』みたいな感じで渡してたんですよ。で、いざスタジオ入って。たぶん最初にやったのが“神通力”やったと思うんですけど、それが凄いね……前のベースの子も魅力的なベースやったんですけど、また違った角度でついてくるベースやってん。前の女の子よりも、もっと前に出てみんなを引っ張っていくような印象を受けたんですよ」
泉「前バンドやってた時からセカイイチは知ってたんですよ。観たことはなかったんですけど。大阪っていっても狭いんで、各々のバンドのことは知ってたし興味はあったんですよ。で、誘ってもらってスタジオ入った時に、もう『凄い!』と思ったんですよね。何が凄いって、ほんとに言葉簡単ですけど、ぶつかり合いっていうのかな。既存の曲でやってたんですけど、でもやっぱり音源通りじゃない。ファースト・コンタクトやったから僕もしたがりなんでいろいろやったら、3人も凄い反応があるんですよね。それで凄いグルーヴが中で生まれてね、『ああ、これは居心地がいいな』と自分的には思ったんですよね」
●音を鳴らしてることが楽しいみたいな。
泉「はい! でもその練習の後に、さっきのうっちーを誘ったように、またこの二人が『じゃあもう健ちゃん入ってや、今日』ってノリで言うたんですよ」
吉澤「『メンバーなってや!』って言ったら、健ちゃんはやっぱうっちーと違って大人で。『もうちょっと待て』と」
●ははははははは!
泉「『練習やって今日入るって、そりゃおかしいやろ?』って」
岩崎「『それちょっと違うやろー』って(笑)」
泉「でも自分の中では練習の時にもうやりたいと思ってたんですよ。でも僕も、その時は年齢のこともあっていろいろこれからのこととか考えてる時期やったんで、『またバンド人生かよ?』——―それまでもずっとバンド人生だったんで——―みたいなことも多少なりともあったりして」
●それは、自分がベースやっていく中でこれで食っていけるのか? 上手く人生歩いていけるのか?ってことを考えてたってことだよね。
泉「そうですね。で、初ライヴをしたんですよね。初ライヴが、もの凄いよかったんです。それは演奏とか表現がよかったって言うよりは、4人のライヴやってる中での音の構築のされ方がもの凄く記憶に残ってるんですよ、カラダと記憶に。なんかもう何も考えずに出せるというか。僕はそう受け止められたし、みんなもそうであったと思うんですけど。音で前が歪んでるんですよね(笑)、見てる感じが。景色が見えるし映像が歪んでるし気持ち悪い、けど気持ちよかったんですよね。僕サポートなのに、気持ちよ過ぎて前にいっぱい出てたんですよ、よう聞いたらね(笑)」
中内「『こいつサポートやない!』思った(笑)。全然いいんだけど、こいつサポートやない、でもとりあえず気持ちいいからやっとけ!みたいな(笑)」
泉「(笑)気持ちほんとよくて。3人も返してくれたしね。で、打ち上げしたんですよね、うっちーの家で。慧ちゃんと僕はうっちーの家に先に着いたんですよ、で、うっちーと響ちゃんらは後で来たんですよ……違ったかな?」
中内「いや違うよ、みんな1回俺んち来てから二人が友達を迎えに行ったんすよ」
岩崎「ああ、そや!」
泉「そいで僕と慧で迎えに行って、うっちーの家の前の公園で友達待ってて。僕と慧ちゃんもその時は年齢差も気にしてたし、まだそんなに仲よくなかったんで、話ゆうてもすぐ尽きるんですよね」
岩崎「お互いちょっと人見知りタイプだしね」
●岩崎くんには「俺フロントマンで歌ってんのに、なんでまだ入ってないこいつがフロントマンなんだよ?」みたいな思いもあるよね(笑)。
岩崎「前出るなよみたいなね(笑)」
全員「はははははは!」
泉「まぁあったんかもしれへんけど(笑)、で会話も尽きて、夜の公園で慧ちゃんが、な?」
岩崎「僕、当時、間に耐えれへん男やったんで(笑)。それでどうしよう?思って。その時凄く星空が綺麗やったんですよね、月がもの凄く照らされてて。で、ちょっと落ち着いて、『健ちゃん、メンバーになってくれへんか?』って。まぁ間に詰まって言ったんですけどね(笑)」
泉「で、俺はもう『来たな!』と。『これ俺、告白されたな』と。もう公園やし、淡い気持ちを思い出したんですよね。ほんまに。慧ちゃんの言い方もそういう感じやし」
●酔ってるわぁ、二人とも。
中内「しかもね、ほんまはみんなで言うことになってたんすよ。3人で『かんぱーい!』って言った時に言おうぜみたいな。そこで『健ちゃん、入ってや』って言うっていう作戦やったんですよ」
岩崎「でも間が持たず、フライングVしてしまったんですよね」
泉「Vはしない! 慧ちゃん、Vはしいひんや(笑)。まあほんで『一緒にやりたい』って僕も言うて。それからスタートしたんですよ」
中内「もう俺と響ちゃんカンカンっすわ。もう二人にずっとだんまりこいてたもん。『一緒に言おうって言ったのに〜!』みたいな」
岩崎「俺らも俺らでだんまりしてた」
中内「それどういう出来上がりやねん(笑)。何の図やねん(笑)」
泉「でもサポートで1回ライヴする前に、前の4人の形のセカイイチの最後のライヴを観に行ったんですよね。で、僕もそれ見て絵が浮かんだんです。そこに自分がおるって絵も浮かんだし、このバンドは凄い来たんですよね、自分の中では。音楽ってやっぱりどんなにカッコよくても来る/来えへんってあるから。でもその中でもセカイイチは凄く映像にも浮かんで、一緒に飛べるような感じがしたんですよね。で、ライヴ終わって楽屋に行って『おつかれさま! 今日は観に来させてもらってありがとな!』とか言って。それで『どうやった?』とか聞かれるでしょ。俺、『自分らこれ、行けるで!!』(笑)」
中内「それしか言わへんの! 俺めっちゃそれ覚えてる」
泉「『自分らこれ行けるわぁ! がんばろがんばろ!!』って(笑)」
中内「めっちゃ狭い楽屋で『ああ、終わったー』って4人で疲れててんですけど、ガチャって健ちゃん入って来て『自分ら行くわ!』って(笑)」
●メンバーじゃなくてマネージャーになってもらえばよかったじゃん(笑)。ムードメイカーとして非常に優秀だしさ。
岩崎「あ、そうや! 間違えた!」
泉「間違えてない! 間違えてないし!!」
●(笑)。セカイイチはリスナーからも凄く絵が見えるんですよ。それはやっぱり曲を作った人の気持ちと音を鳴らしてる人達の気持ちが一緒だから、それが一つの絵として凄くカッチリと見えて来るのかなと思うんですけど。なんで曲の気持ちってものをこれだけちゃんと音に出せるんでしょうね?
中内「僕が思うのは、みんな歌が上手い/上手くないは別にして、楽器が歌ってるんすよね。歌心があるっていうか。それをみんな持ってるから、そういう印象を受けるんだろうなと」
●中内くんも歌うように鳴らしたいんだ?
中内「そうっすね。それができたら素晴らしいと思いますね」
岩崎「“歌うように暮らそう”ですよ」
中内「上手いとこ持ってくなぁ……」
岩崎「ディノスの宣伝なんすけど、俺、あの歌大っ好きなんですよ!」
中内「でもやっぱりみんな、何やろうな、鼻歌まじりなんですよね。この3人のフレーズ、どのフレーズも鼻歌で歌えますもん、僕」
●それ凄いね。要するにそれぞれから出てくる音が歌になってるってことでしょ?
中内「そうですね。これ凄いですよね」
泉「やっぱり音楽って自分の今までのことを鳴らすというか、自分を鳴らさんと面白くないんですよね。で、慧ちゃんの書く詞だったりうっちーの書く詞だったり、声であったり、それは自分の等身大に入るんすよね。それを聴いて僕が自分の感情を出すんですよ、そうするとまた返してくれるんですよね、みんな。で、4人の絵が、それぞれ違う絵なんやけど、同じベクトルで真ん中に集まってるんですよね。それはやっぱり今までの人生の経験であったり、何かのテーマに対しての各々の考えだったりすると思うんですけど。それが素直に表現できてるっていうのが――まあまだまだなんすけど、それが少なくとも4人ではスイッチが、アンテナが入る。だから決して難しいことは僕らはやってなくて、ただそのスイッチの入り方というか受信の仕方、周波数がみんな一緒というか。それでお客さんにも、聴いてもらってる人にも伝わればいいなぁというのがあって。まぁ慧ちゃんは歌ってるから余計そういう表現も凄いあるやろうし。それが慧ちゃんにないと僕らも入れへんし。だからダメやったらダメって言う(笑)」
岩崎「健ちゃんは言うんですよ、すぐ。アンテナが凄くて。『こんなんできてん』とか言ってネタっぽく曲持ってくじゃないっすか。『慧ちゃん、それ来うへんなぁ』ってすぐ言うんですよ。ムカつくんすよ(笑)」
泉「それは僕の匙やからあってるかあってへんかわからへんけども。まぁ慧ちゃんが一生懸命作って来たとしても、なんかポイントがわからないとかあるんすよね、やっぱり。それは間違ってるか間違ってないかわからないけど、僕はそう感じるから言うだけなんすけど」
●あと自分が入って行けなければ、バンドとしてその曲を音楽にできないわけでしょ?
泉「それは大きいっすよね」
中内「でも、だんだん慣れてきますよ。たとえば僕らが『いい感じやん』って言うけど、健ちゃんはいざベースで表現しようとして『なんかわからんな』っていうこともあったりするんすけど、だんだん慣れてくと曲が自分の中に入って行ってるっていうか」
泉「あ、それはありますあります。僕が感じられんくてツボがわからんくても、絵が1回見えてる、解ってるメンバーがおるなら僕は信用していいし、乗ってもいいと思うんすよね。そうやって広げてくれるメンバーがおるから、次また行ける、納得できるっていうことはありますよね」
●凄く頻繁に音楽について語り合ったり音を鳴らし合ったりして、何か構築する、何か塊を作って行くってことをいっぱいやってるんですね。
吉澤「っていうか無駄話めっちゃ多いっすよ」
岩崎「なんか脱線ばっかするんすけど、でもみんな音楽でもっともっと上に行きたい、自分達のレベル……まぁ技術もそうやけど、精神的にももっともっと上に行きたいから、そういう意味では凄く話し合ったりしますし。次の曲どんなんにしよう?とか考えたりはもちろんしますね。でもその間脱線しまくって4時間とかなりますね(笑)」
中内「早くスタジオ入らんなあかんやないかゆうてね(笑)。よく怒られます」
岩崎「ま、これを事務所関係の前では話せないですけどね(笑)」
●(笑)。今ここで話してたことは、みんなそれぞれ息をするように音を鳴らしたいって気持ちだと思うんですよね。そういう気持ちが集まってバンドになったって感じなんですか? それとも「俺達のバンドはそういうふうに音楽をやってこうぜ」みたいな取り決めに近いものがあったりしたんですか?
吉澤「なんかその、音楽を演奏することが日常生活の一部になってるメンバーが揃ってると思うんですよ。息をするように音を出すっておっしゃいましたけど、僕、ドラムって本当にそういう感じなんですよ。たぶんみんなも、たとえば慧ちゃんとかは喋るのと歌うのとあんま変わらへんくらいのイメージで歌ってると思うし」
岩崎「なんか歌うほうが素直ですね、僕は。喋るとあんまよくないっすもんね」
●イケてないんだ(笑)。
岩崎「喋るとダメですよね、ほんまに」
●だから泉くんがお笑い担当なんだ、ステージでは。
泉「でもねぇ、最近一言言うと失笑なんですよねぇ(笑)。それが心地よくもなりつつ」
岩崎「この1年くらいで気づいたんですけど、健ちゃんはいじるよりも放って見とくほうがおもろいんですよ」
●放置プレイか。
岩崎「はははは、あれは堪らへんな〜」
中内「(笑)健ちゃんが笑いを取る、その9割が僕のツボだったんですね。今はちょっとずつ減って来てるんですけど」
●それって精神的ホモだよね。
吉澤「それ新しい捉え方ですねぇ(笑)」
岩崎「でもほんと、鹿野さんもぜひ今度1回、健ちゃんをガン観しといてください。ただ観てるだけでおもろいっすから。でも彼自身が狙ってウケを取ろうとすると、全然面白くないですから」
泉「何の話や(笑)」
●岩崎くんはなんで曲を作り始めたんですか?
岩ア「なんでかなぁ…………なんか辛かったんでしょうね。しんどかったんだと思います、単純に……うん、そう………」
●……何が?
岩ア「まぁ生きて行くこととか。ちょっと重たいんですけどね。そういうのがもうしんどかったっていうか。もうウワーってなってて、何かもっとこう、できんもんかなと。何かで自分を見たいと思って、その時に鏡になってくれんのが自分の曲やったから、それで作り始めたんだと思います」
●どうして音楽が自分を表わして、浄化してくれると思ったんですか?
岩崎「単純にそれしかなかったんですよね。僕、高校も辞めてるし、その辞めた理由も音楽したいと思ったからなんですよ。それもなんでそう思ったかって言われてもわかんないんですよね。衝動的やったんで、凄く。衝動的やったけど決意は固かったんすね」
●自信はあったんですか?
岩崎「自信満々でした、僕。今もそうなんですけど。『俺が行けんかったら誰が行けるねん?』って思ってたんですよね。今もそうなんすけど、でも今よりももっと強くそう思ってたんですよ、何の根拠もなしに(笑)。それくらい音楽好きやったんで、気持ちを浄化してくれるっていう意味で言うと自然にそういう形に流れ込んでいったっていうか」
●今回の“石コロブ”って歌もそうですけど、岩崎くんの歌って音楽に自分を全部委ねて行く、そういうことを自分に言い聞かせるような歌が非常に多いですよね。
岩崎「そうですね、はい」
●やっぱりそれくらい切実なものだったのかな。音楽を作ってく、自分が歌っていく、音を鳴らし合っていくってことが。
岩崎「そうですね……というか、ほんまにそれしかないっていうか。それしかないしそれがやりたいし。なので思いっきりこれやってそれでいいかなって、それしか思ってなくて。ほんまそうなんすよ、『俺にはこれしかない!』と思ってたんすよ」
●なんでそれほど音楽が素晴らしいと思えるんですか?
岩崎「なんでやろうなぁ……なんかでも、感情が凄く動くじゃないですか。で、楽しくなれたり……まぁほんまにたくさんの思いがグアーってなるんですよ、で、僕の中でスパークし出すんですよ。そこまで熱くなれたり涙を流したりできるのって、音楽だけやったんすよ」
●プラス自分を投射してくれるものっていうのも含めてね。
岩崎「そうそうそう」
●僕は“石コロブ”の中のこの歌詞が最高だと思うんですよ。「サイフは捨てて ギターを握って 自分のために今日は歌おう/時間を忘れ無我夢中で 誰かのために今日は歌おう(中略)宇宙の一部のちっぽけな僕さ 死ぬるまで生きよう」って歌詞。これほど素直なんだけど、メロディとサウンドに乗って心の中のど真ん中までカーッと響いてく、非常に生々しくて音楽的な歌って最高だよ。これは自分を100%全部、その言葉の中に飛び込ませてるからですよね?
岩崎「ほんまそうですね。なんかね、サーフィンして心の中に入って行く感じ。ほんまに波みたいのがあるんですよ、たぶん。それにのっかって行ける時はすんごいスラスラ書けるし、逆に波を待つ時もあるし。だからなかなか来うへん時はずっとパドリングしてますよ。そいで波が来たらそのままガーッと行くっていう。それがたぶん、僕の中でのスパークで。その瞬間がほんまに気持ちいいんです。ほんっまに気持ちいいんです、その瞬間が僕を癒してくれるんですよ」
●いいね、それは。セカイイチはこれからまた新しい、凄く大きなステージに飛び出して行く、この曲はまさにその瞬間じゃないですか。その瞬間にサイフを捨ててギターを握るってことを自分に言い聞かせないと、あなたは飛び出して行けない人なんだよね、たぶん。
岩崎「(笑)僕も金の使い方荒いっすからね」
●そういう問題じゃねえよ!(笑)。でも、やっぱり自分達は音楽と共に生きて行くんだってことを歌いたかったんだよね。
岩崎「そうですね。それはもちろん。音楽と共に生きたいなと思ってますね」
●そういうところをキャッチし合えたところから、バンドが一つになれている部分は大きいんですか?
吉澤「うーん……歌うことによって、そしてそれを聴いて、やっぱりメンバーそれぞれ何かを受けてると思うんですよ。で、メンバーの側にももうそういう受け皿が備わってるからこういう音楽になるんだと思うし。たまたまこういう4人が集まって、慧ちゃんとうっちーが何かを発信して。で、それぞれが受け皿を持ってて。僕もドラムで発信して、健ちゃんはベースで発信して。そういう音のコミュニケーションというか気持ちのコミュニケーションというか、そういうのが今は凄い取れてる状態やと思うので。それがいい方向に動いてるんだと思うし、もっともっと僕らなりのいい音楽を作って行こうという気持ちになってるんじゃないかな、と」
●バンドってさ、出会い自体が音楽じゃないですか。出会った瞬間にピーンときて「俺はベースじゃなくてギターだったら参加するよ」って言った瞬間に、もう音楽は鳴ってるんだと思うんだよね。で、それを実際に鳴らし合う関係になっていって、人としての関係も出来上がっていって。うん、非常にロマンチックなことですよね。
岩崎「たぶん僕ら、歌なんですよ」
●そうだよねぇ。やっぱり一人だけじゃ歌い続けられないもんね。
岩崎「うん、一人だったら俺は寂しくて死にますね。なんかやっぱり、決断した瞬間から何か始まったんやなっていうのは今になると思いますね。だってなんで凄いかと言うと、このメンバーに出会って最初にスタジオ入った時のことを今も忘れてないんですよね、僕。明確に思い出せるんですよ。他のことはめっちゃ忘れるんですけど。でもそれだけは忘れへんっていうか。まぁでもほんまに窮地に立ってみないとわかんないっすけどね。『どこまでこいつら信じられんねや?』ってことになった時に、それを僕は思い出すんじゃないですかね」
●中内くんだって、やっぱり、自分のためだけに曲を作ってるんじゃあないって気持ちはあるんじゃないですか?
中内「うーん……僕、人のためとか自分のためとかあんまり考えずに曲を作り始めたんで。ただ自分で凄い凹んだことがあって、その時のことを自分で詞にして曲をつけたら、僕が大好きな歌になったんですよ。慧が言ったことじゃないけど、なんかそれを歌うことによって自分の鏡を見るというか。で、それでまた進んでいけると言うか。そういうのがきっかけで僕は曲を書き始めたんで、根本にはそれがあると思うんですけど。最近は……結構ふっと思ったことをそのまま掴み取るふうに作ってます」
●そしてそれをみんなに投げるんだ。
中内「そうです。そしたらバーン返ってくる」
泉「うっちーは一番投げっぱですよ(笑)」
全員「ははははははは!」
中内「投げ合ってますね。でもこのバンド、不思議なもんで、あんまりケンカってしないんですよ。殴り合いとか」
●殴り合いって(笑)。
中内「殴り合いになったら健ちゃんが勝つってわかってるから」
岩崎「僕ら3人で束になっても絶対に負けるってね」
●そういうことかよ(笑)。今はまた音を鳴らしたい、レコーディングしたいっていう感じですか?
岩崎「今めちゃめちゃしたいですね。僕、今ハッピーですね。ハッピーですって言うかポジティヴですね。溢れ出てますね。これ、包み隠さずに言うと、実は今レコーディングし終わったアルバムがあって、それがもう形になったんですよ。それを自分でめっちゃ聴いてたんですよ、凄い好きだから。『ああ、いいな、いいな』と思って聴いてて。その中にそれまでの自分は全部詰め込んだつもりだったから。で、次何やろう?って思った時に、僕、1ヶ月半くらい何もできなかったんですよ。曲も何も書かれへんし何も考えられないって思って。その時はうっちーが曲をいっぱい書いてたりしてて、まぁ他バンドのみなさんも曲をいっぱい書いてたりしてて、そういうの見て凄いなぁと思ったりしてて。なんかこう、1stミニ・アルバムの『今日あの橋の向こうまで』を書く前くらいの気持ちに戻っていってたんだと思う」
●真っ白で透明な感じ?
岩崎「そうですね、空ばっか見上げてた時にまた戻っていって。で、また最近も散歩ばっかりしてて。そこにまた自分の原点みたいなものが見えたんですよね。『ああ、俺ってここにあったんや、東京に出て来ても俺ここにあったんや』って思って。それを自信満々に鳴らすのが俺やんけ、って思って。うん、今そのまま行ってる感じっすかね」
●わかりました。また新しい音楽もいっぱい聴かせて欲しいし、そのためにまたバンドの中で喧々諤々やり合って欲しいなと思いますんで。長い旅を続けていってくれるよう、心から祈ってます。
メンバー「ありがとうございました!!」★

———追加
●『HOLIDAY INN BLACK』(2月20日、リキッドルーム恵比寿でのロック・パーティー)は楽しんでもらえましたか?
岩崎「おもろかったっすね」
●ライヴ自体はどうでしたか?
泉「やっぱ僕らにしたら大きいとこやったし、あんだけのお客さんにも聴いてもらってる中で、バンド的にも出せたというか。いい感じで回ってましたよね。イベント自体が、出てるバンドさんとかも僕らが今まで対バンしたのと全然違うし、雰囲気も、なんかカルチャーってものがあったとしたら、広がるって言うよりもっと深いところにそれがある感じがして。音楽だけじゃなしに、一人一人がそれぞれの面白さがあって。ある意味、カルチャーって深くて面白いなって改めて思ったっていうか。僕らは音楽やけども、それでよかった、みたいなのは俺はありましたけどね」
●すべてのパーティが終わった時に、俺は岩崎くんに担がれて落とされそうになったんですけど……。
岩崎「俺、あれは気に入った人にしかしないんです。ちなみに、ロスト・イン・タイムの海北大輔にもやりましたけど(笑)。殴られそうになりましたけど」
●それは光栄です。じゃあ楽しんでもらえたってことですね。
岩崎「楽しかったですね、ほんとに」
中内「またフリー・マーケットだけでも呼んでください」
●売れた?
中内「売れましたよー! ほんまに。普通の人もいろいろ買ってくれて。めっちゃ嬉しかった。あれね、前日にマネージャーからフリーマーケットはアーティストも出せるって聞いてたんですよね。だからみんな持って来るもんやと思ってて。俺はリュックいっぱいに持って来て」
吉澤「登山みたいになってたもんね」
中内「『よっしゃ! 今日は売ったんねん!』思って。そしたらみんな小さい小さい鞄なんすよ。『あら?』とか思って」
●すべてのミュージシャンの中で一人だけやってくれたんだよね。
中内「え、そうなんすか!?」
●だから「この人だけもしかしたら生活困ってんじゃないかな?」って思ってる客はいたかもしんない(笑)。
中内「ははははははー。あ、でもね、いろんな人と友達になれて。あそこで写真を売ってる子とかローソクを売ってる子とか、普通に会話も楽しめたし。ものも売れて、それで酒も飲めたし。凄いいい商売でしたね」F

*セカイイチにとってのロックとは?
泉健太郎「僕にとってロックとは、バカになれること」
吉澤響「生活して息を吸うように音を出すことです」
岩崎慧「爆発、です」
中内正之「将棋の中に……隠されてると思います」


Last Update : 2005年02月25日 (金) 20:42

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