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レミオロメン/藤巻亮太 February 3, 2005

●松屋の豚丼がさぁ、タケノコ入れ始めたんだよ。
「タケノコですか?」
●ほら、豚ってやっぱり牛に比べてダシが弱いから、吉野屋とかってゴボウとかタケノコとかでそれをごまかそうとして売ってたんだけど、松屋は最近までずっと豚肉とタマネギだけで勝負してたんだよ。なのに遂にタケノコ入れやがってよぉ。
「あ、そうなんですか(笑)」
●まがいもの。世の中、もう筋が通らないことばかりだよ!
「あはははは。吉野家も牛丼出さないんすかね。まだ高いんすか、やっぱり?」
●いや、そうじゃなくて、今さら後塵を拝して普通に出すってことはできないみたいよ。要するに牛丼と言えば吉野家なわけじゃん。なのに松屋とかすき屋とかが先に牛丼再開しちゃったじゃん。だから遅れて普通の牛丼出すようじゃ、先駆者としての名が廃るみたいなさ。
「ああー、なるほど〜(笑)」
●……どうでもいい話でいい加減みんな怒りそうだから、そろそろ始めましょう。よろしくお願いします。
「よろしくお願いします!」
●今はアルバムが完成したばかりなんですよね。
「そうですね、マスタリング終わったのが最近ですね」
●で、アルバム発売タイミングで来ていただいてもよかったんですけど、でも僕は何よりもこの“南風”を藤巻と語り合いたくて、シングルのタイミングでおよびしちゃったんです。もう、これは遂に! 遂に出てきましたね!!
「はい。本当に、レミオロメン史上一番ポップで明るい雰囲気は持ってますね」
●書き上がった瞬間に、キラキラした感じはあったんですか?
「いや、もう精神的に凄く何モードもあって、で、今ようやく手放しでこの曲は最高だって思える段階なんですよね。一番最初は……これ、2年前くらいかな、まだ僕らが神社でやってる頃にできた曲で」
●神社で南風かよ……吹いてないよ神社に南風は。
「吹いてないですね(笑)。作り方も面白くて。この曲は(前田)啓介が元ネタを持ってきたんですよ。で、最初は凄い暗い曲で。それを何とかしようってことで僕がサビをつけたら、それがちょっと明るかったもんだから……『ディスコ・ビートにしてみよう』みたいなことになっていき。で、ドッチータッチーが入って。ベースがいつの間にかドディドディってオクターブになって」
●だって前田啓介はもともとアース・ウィンド&ファイアー命な人でしょ。
「命な人でしたね(笑)。だからね、最初はポッと恥ずかしくなる感じがあったんですよ。何故かと言うと、モード的に“追いかけっこ”とか“タクシードライバー”とか、そういう曲を作ってた時期で。個人的に『力の限り闘うぞ!』みたいなモードだったんですよ。だから一番なんか、身体から何から痛いというか、血肉を削って出すようなサウンドで曲を作ってる時期だったんですね。そんな中でぽつーんと、奇跡的にこの曲が誕生したんですよねぇ(笑)」
●異端児なんだ、この曲は(笑)。
「そう、最初のレミオロメンからすると、ちょっと異端児だったんですよ。まぁ僕だけなのかもしれないんですけど、ある程度ネガティヴなものだったり弱いものだったりをどこかに入れて、そこを昇華(消化)してもう一つ上の希望みたいなものに繋げていく――それが音楽だと思ってたから、自分のそういう部分を吐き出さなきゃいけないと思ってたんですよ。音楽ってそうじゃなきゃダメだって。で、この曲はどうやってできたかというと、サビの<君をもっと 愛をもっと 欲しいのさ>ってメロディと一緒に出てきたんですよ」
●メロディに言葉が呼ばれたんだ。
「一瞬で出てきて。その瞬間に凄くポッとなって(笑)。それで啓介と(神宮司)治と目を合わせたりして『あり? あり?』って(笑)。そしたら『お、いいんじゃん。かなり気持ちいいよ』みたいな感じだったんで、『あ、そう。じゃあこういう感じで書いてみようかな』みたいな。だからね、職業作詞家みたいな距離感で書き上げた曲なんですよねぇ。僕の場合、言葉とそういう距離感で付き合ったことがなかったんですよ。それまではどちらかと言うと自分のモヤモヤみたいなものを消化するためにとか、何かそこから希望をみつけるためにとか、そういう理由があったんですよね」
●“南風”が今までの曲と一番違うのは、今までは見える人に対して歌ってた――この曲はこの友達に対して歌おう、この曲はこの時にこんなことがあったという、その時の景色とかその時一緒にいた人に対して歌おうとか、そういう歌が凄く多かったと思うんです。でも“南風”は不特定多数に向けられてますよね。
「今おっしゃった通りなんですよ。やっぱりそういう顔が見えてるものだったり、自分のリアルなもの、自分の手に届く世界のものじゃなきゃ責任を持って歌えないと思ってたんですよね。だけど、これって本当に存在するんですよ、“南風”って世界は」
●自分の頭の中に妄想として?
「たぶん妄想、空想として(笑)。でも本当にあるんですよ。僕らが東京に来てプロになっていくっていう作業の中で、やっぱり曲を人に聴いて欲しいんですよね。その気持ちに自分の中で気づいてくると、結局は音楽として考えたらどんな曲でも聴いて欲しいんですよ。自分が曲を作った理由はあるんだけど、そういうものは他人には全然わかんないところだし、それはその曲を自分が責任を持って歌えるか/歌えないかってことだけにしか活きてこないことだから。それはそれで大事なんだけど、ただ、鳴り出せば人々が凄く幸せな気持ちになっていく、そういう曲もあるなと思ったんですね、この曲を作って」
●この曲のラストに<手のひら合わせたら世界は変わる>というセンテンスがあるんですけど、まさにそれですよね。音と音を合わせたら世界は変わるんじゃないかっていう希望に満ちた願いがこの曲のエネルギーになってる気がするんですが、どうですか。
「そうですね。生まれ方も僕らにとっては初めての生まれ方だったし、これを作って僕も音楽がわかったっていうかね。音楽の作られ方、そして、音楽に導かれてる感じっていうか。そういうものとの出会いだったっていうね。………まぁ僕だけ難しく考え過ぎてただけなんですよ、きっと。啓介は前からこういう世界観もすっごい好きだと思うし、人と繋がっていきたいっていうのはめちゃめちゃ持ってるから。そういう面で言うと、歌と自分との距離が、僕だけ計れなかった部分があったのかもしれない」
●そういうふうに、藤巻だけが混沌としていっちゃって悩み続けるみたいなことは、レミオロメンの中ではよくあることなの?
「あのー、キーワードみたいなものを自分で作ってしまったりとか、周りの人が言う『3ピース』とか『山梨』とか『素朴』とか『和風』とか、そういう言葉に凄く縛られた時期はやっぱありましたね」
●それは、俺達が世の中に出て行った→カテゴライズされる→面白くねえぞ、バカヤロウ!みたいな感じだったの?
「いろいろ評価されるのは、最初は気にも留めなかったんですよ。ただ、その後に何を作るかっていう時にね、来たんですよ。『え、ちょっと待って。これってやっぱりそうしなきゃいけないのかな?』みたいな(笑)。『やっぱり3ピースじゃなきゃダメなのかな?』とか。僕はそこで1回言葉が出なくなった時もあったし」
●そうなんだ。
「で、そこで山梨の中にいても異端な世界を持っていた“南風”があったんですよ。それを初めてレコーディングでアレンジしていく時に、本当にいろんな意味で……3ピースの枠を超えるってことも僕らに決定させてくれたし、こういう距離感で言葉と付き合うってことも僕がGOを出せたし。凄い大きな曲でしたね」
●あのね、この“南風”の歌詞は、メロディがなかったら恥ずかしい歌詞だと思うんだよ。
「そうです(笑)」
●でもそこにメロディが重なることによって、もの凄く人に勇気と前に進む行動力を促してくれる。そういう素晴らしい曲だと思うんですよ。
「本当にそうなんですよ。メロディがなかったら詞って全然違う取られ方をしてしまう。やっぱりメロディに乗るから歌詞なんだと思ったし、“南風”を作ってから結構時間が経ってるんですけど、前はいろんな意味でこの言葉は自分は使わないとか制限をしてたんですよね。『これは自分にとってリアルじゃない』とか、自分が勝手に壁を作っちゃってただけなんですけど」
●だから前は自分の半径1メートル以内っていう世界――レミオロメンには“ビールとプリン”っていう名曲がありますけど、これは本当に素晴らしい曲なんだけど、そこにあるのはビールとプリンという、自分の目の前にあって自分が触れるもの。それが今までの藤巻の象徴的なリリックの世界だったと思うんだよね。ただ“南風”では「何への愛」っていうことじゃない「愛」を、そして「どんな世界」ではなくて「世界」を、そういういろんな意味に取れるような凄く大きな世界を歌おうとしてるよね。
「要はね、自分もそういうものが書きたかったんですよね、本当は。世界に繋がっていくような、カテゴライズされないようなというかね。もっともっと広い一般的なことだってあると思うし、自分の中の血肉や何かをもぎ取って言葉にしなくてもいいんだって思えたんですよ。この曲はそういう曲だし、誰にでも当てはまる曲だし、誰にでもいつ訪れるかわかんない素敵な時間のことだし。やっぱそういうのって理由はいらないんだっていうか、俺が歌の中に出てこなくてもいいんだって思えた」
●どうしてそういう気持ちになれたんだろうね? “南風”は自分の血肉を言葉にする意味から逃げた結果生まれたんじゃなくて、やっぱり藤巻がパキーンと覚醒したから生まれた名曲だと思うんだよね。
「うーん、でももしかしたら、前からこういう距離感の曲を作ってたかもしれないんですよ、自分がボツにしてただけで(笑)」
●はははははは!
「本当にねぇ、今思えばこういう明るい曲あったなぁって。だからやっぱり俺、絶対歌いたくなかったんだろうなって思うんだけど」
●「俺は明るくなくて暗くてズブズブな人間で、だからこんな明るい歌なんか歌っても嘘に過ぎねえ!」っていう感じ?
「そう、『嘘に過ぎねえ!』って思ってたのかな。もっともっとリアルなものって思ってたのかもしれないな。やっぱりプロになってバンドでやってくことに対して面白いっていう部分もあったけど、そこに対する恐怖だったり、奮い立たせる気持ち——―毎回『お前はそれでも音楽が好きなのか? それでも音楽やれるのか?』っていうことを自分に問いただしながらやってきたから。音楽製作には、そういう緊張感が常にあったんですよね」
●実は今できかけているアルバムから何曲か聴かせてもらったんですけど、僕はこの“南風”は新しいレミオロメンを象徴する新曲だと思うとともに、藤巻の音楽世界のど真ん中がやっと鳴ったっていう感じがするのね。それは何故かと言うと、今までの藤巻の曲もね、もの凄く蒼いんですよ。
「(笑)」
●もの凄く蒼いし、愛というものを凄くストイックに、ロマンティックに考えていたし、凄く瑞々しい世界を追い求めてたと思うんだけど、ただそんな自分に対して戸惑ったり混沌としたりしてしまう、そういうもどかしさを藤巻は今まで歌にしてきてたんだと思う。だから、蒼さや「好きだぜバカヤロー!」みたいな気持ちをドカーンと爆発させたこの“南風”は、本来あなたが持っている一番心臓の部分の音楽なんじゃないかなあ。
「うん、そうですね(笑)。やっぱり蒼かったしストイックだったし、それは音楽に対する自分のエゴなのかもしれないけど。でも本当に音楽を通していろんな世界が見えるなって思えますよね(笑)、今は。うん、凄く思えた、“南風”は」
●だから、鈍臭い言い方だけど、“南風”を聴いてるとどこへでも行けるような気がするんだよね(笑)。
「すげぇデカい羽根をもらったような感じですよね。結構どこでも飛べちゃうよっていうね……何て言ったらいいのかな……僕が手を広げて届く範囲が広がったっていう感じがしたんですよね、うん」
●だから、もっと見えない世界を見に行こうっていう気持ち、もっといろんな人に聴いてもらいたいなっていう気持ち、それがこの曲をここまで大きな曲にさせた理由だと思うんですけど。どうしてそういう貪欲な気持ちになれたんですか?
「やっぱりもっともっと多くの人に聴いて欲しかったですね、純粋に。それはずっと思ってて。もっともっとレミオロメンを知ってもらいたい。で、今の自分達の世界観、山梨から見た世界じゃなくて、今ここ(東京)にいて、こういう仕事をしていて、ここから見ている世界を歌ってかなきゃいけないなって思いましたね。それが自ずと距離感になったのかもしれないし。やっぱり本当に一瞬聴いてどうなのかっていう世界だとも思ったし」
●というのは?
「やっぱり本当にいい曲っていうのは、一瞬で聴いて心に入ってくる。一瞬というか1回聴いて入ってくるものだと思うんですよ。その考え方の中で勝負をしてみたいとも思ってたし」
●ということは、自分らの現状をシビアに考えて、このバンドにはやれてないことがまだたくさんあるんだなっていう気持ちは持ってたわけだね。
「うん、やれてない可能性はやっぱり感じてましたよね。ただそういう意味付けをするのがややこしかっただけで。そこに対して自分を位置付けたり意味付けたりしたがってただけで、本当はもっともっと可能性に満ちてたんだなっていうふうに思えたな」
●自分が音楽をやることに対して、一番最初に立てた目標ってどういうものだったの?
「一番最初に音楽を作った時は――まぁここに全てがあるのかもしれないけど――自分の言葉で歌いたいって思ったんですよね。考えてることを音楽にすることでめちゃめちゃ整理できた部分があったのかもしれないですね。だから不器用だったのかな……不器用だったんですよね。いっぱいいろんなことにチャレンジしたし。サッカーとか未だに好きなんですけど。うーん……昔からめちゃめちゃエゴが強かったから、やっぱりそこで、距離感を計っていくことに難しさを感じてたところはあったのかもしれないですね。何かもっと自分を表現できるものがあるんじゃないかって思ってた部分はあったかもしれない」
●最初に音楽を作ったきっかけは何だったの?
「コピー・バンドとかやってて、自分では(歌ってる内容のことを)そうだと思ってないことを大声で歌ってる自分がわけがわかんなくなってきて。『俺こんなこと思ってないな』っていうようなことを一生懸命歌ってるんですよ。そんな自分が滑稽っていうかフェイクだなと思って。それで『自分の言葉で歌ってみたいな。じゃあ曲でも作ろうか』っていうところから始まっていって、そうしたらそこからもう凄まじいハマり方をしましたね、音楽ってものに対して。出会ったって感じでしたね。音楽を作っていくと、世界のことをもっと考えたくなるんですよ、いろんなことを考えたくなる」
●考えてることを音楽にしていくっていうよりも、音楽を作ることによってさらに考えるって感じなんだ。
「そうそう。僕、詞を書いてる時も、上にAメロ書いてサビを書いてBメロ書いて、今度またAメロ書き直してサビを書き直して……っていうふうに、どんどん修正しながら書いてくタイプなんですよ。だから考えてるんですよね。1個の価値観をぽーんと出して、そこから考え出すっていうかね。『ああ、こういうことあるなぁ』とか。その中で『ああ、自分のこういう面を発見した』とか『世界にはこういうことあるなぁ』とか思ったりとか」
●面白いね。それって自分にクイズを出して自分で答えて、その答えた自分に対してまた自分で突っ込み入れてるような、そういう感じだよね。
「そうですね、変な感じですよね。まずお題を出して、みたいな。詞から書きたいって思ったこともあったんですけど、でも全然違う脳みそですよね、詞から作ってメロディを付けるっていうのは。まぁメロディを作るのが好きだったっていうのもあるかもしれないけど。メロディを作るのって本当に気持ちいいなと思っていて、そこに載せる詞をどうしようかなって考えた時に、ポーンと1個何かキーワードを出してそれをガーッと広げていくのがまた楽しくて。だから2段階楽しかったんですよね」
●あのさ、藤巻って非常に声が強いじゃん。今僕は片耳にヘッドホン当てながら話してるんですけど、喋ってる言葉でもアタックが強いよね。
「そうですか?(笑)」
●そう。その「そうですか」も凄いアクセントがついて耳にボン!って入ってくるんですよね。
「声はデカいっすね。大声で歌うのとか大好き」
●前からその声でガーガー歌ってたの?
「歌ってましたね。高校時代もカラオケ大好きだったし」
●(笑)十八番は何ですか?
「ユニコーンの“働く男”ですね」
●ははははは! めっちゃくちゃ上手そうだね!
「いや〜ユニコーン大好きだったんですよ。民生さんの声がすっごい大好きなんですよね、僕」
●自分のこの声が自分の言葉を歌っていく気持ちよさもあるんじゃないですか?
「ありますね。たとえばこの曲を誰かが歌ったら違うんだろうなって思う。やっぱり自分だけがわかる感覚じゃないですか、この声で歌ったらこう聞こえるだろうなとかっていうのは。やっぱ声のハリ方とかもあるし。そこを探求してくのも面白かったですね」
●藤巻の声は凄くハリもあるし、あなたの声自体に跳躍力があるんですよ。だからねぇ、こういう“南風”みたいな曲はズッパマリ。
「ズッパマリ(笑)。ズッパマリ、いただきました〜!」
●ごっつぁんしてください(笑)。ほんとズッパマリですよ。
「ああ、でもね、<君はもっと>の<と>で声がハル時は気持ちいいっすよねぇ」
●ははははは!
「ライヴでやっていきながら、2番のサビとかを『たーうぁ〜』とか『わうわうわ〜』とかってニュアンスを変えていったらこれがまた面白くて。すっげえ気持ちよくて。だからレコーディングもそうやって歌っちゃえ!って思ってやっちゃったんですけど(笑)」
●じゃあ今は音楽をやること、バンドをやること、全てにおいて凄くポジティヴにエネルギッシュに楽しめてる感じなんですか?
「やっぱりたくさんのものをいただきましたね。今回のレコーディングでいろんな自由をいただいたっていう感じかな。そっからまた音楽を作るの楽しくなりましたもん」
●それは具体的にどんな自由をもらったんですか?
「最初はやっぱり3人が表現できることでやってたから、どうしてもアプローチも似てくるし焼き増しになってきた。それでも3人でやらなきゃいけないんじゃないかってところが苦しくて、曲もできなかった部分もあったんですけど、『あ、本当にこの曲を生かしてくれる音があるんだな』っていう、ギターじゃなくてもベースじゃなくてもドラムじゃなくても、そのポイントを突いてくれる音があるんだなって思えた時に、また凄く自由に曲を作れるようになったんですよね」
●今回のアルバムにはストリングスなんかの音が重要なフレーズとして入ってる曲もあるじゃないですか。それはやっぱり、自分達が小林武史っていうプロデューサーと組んでいく上で橋を渡ろうとした部分ではあったわけ?
「橋を渡りましたね。小林さんとやったのは本当にデカかったですね。『朝顔』ってアルバムから一緒にやってたんですけど、あの時は『そのままのお前らを出せばいい』っていうところである程度の距離を置いて見ていてくれた感じで、だから『朝顔』は山梨のままを閉じ込めたアルバムだったんです。でも、今回は橋を渡っていかないと、僕達がもっともっと誰かに近寄っていかないと、聴いてくれる人も近寄ってきてくれないと思ったんですよ。そのためには1曲1曲に対するこだわりだったりをやり切っていくしかないと。やり切らないと通じない部分があるって思えて。今までは3ピースの枠を……とか考えてた部分があったから、そういう部分は取っ払いましたね。この曲に一番合う音は何だ、この曲に一番いいアレンジは何だっていうところで考えられたから、すっげえいろんな音が入ってるし。小林さんっていう人がピアノを弾いた時に、やっぱりそこに可能性をめちゃくちゃ感じたし」
●ああ、そうなんだ。
「ドキッとしましたね。『ああ、全然違うところから音が入ってくるわ』と思って。音楽って面が多ければ多いほど、光をいっぱい跳ね返すと思うんですよ、乱反射すると思うんですよ。いかに1曲1曲の角を削って光がいっぱい跳ね返るようにするかっていう、その面白さを感じましたね」
●なるほどね。ただ変わっていくっていうことはとても怖いものですよね。たとえばそうやっていろんなものを導入していく、そしてバンド・サウンドっていうよりは曲が呼んでるものは何でも鳴らしてこうっていう発想に変わった瞬間に、レミオロメンがレミオロメンじゃなくなってしまうんじゃないか、僕らって音楽、僕らってバンドが僕らの手を離れて行ってしまうんじゃないのかっていう恐怖心も、不安とともにいっぱい出てくると思うんだよね。
「それは当然ありましたよ。それはやっぱり決断するまで時間かかりましたよ。まぁ(きっかけは)“南風”だったんですけど。そこにストリングス、ピアノを入れるか/入れないかっていうのがあって。……やっぱりね、僕らの手を離れるんじゃないかっていうよりも、3人がこうやってきた、この関係性がどういうふうになっていくのかなっていうことも思ったし、3人でやってきたことに対する自信もあったし。まだ3人でやっていって大きな結果を残したいっていう願望もあったし。ただ……ただもう、僕達の頭は違うほうを向いててそれを欲しがってた。だから決断した時に、同時に覚悟もしましたね。さっき鹿野さんが言ったことも反面あるんじゃないか、でも今僕らが選んだことは間違ってないっていう。音楽が呼んでいるものを再現していこうよ、それをまた人に伝えていこうよっていうね。自分達が持ってるレミオロメン観みたいなものに縛られちゃいけないな、と。自由にやって行くんだっていうスタンスは忘れちゃいけないなと思ったな」
●やっぱり3ピース・バンドって、3人であることがやってく中でどんどんこだわりになってくものじゃない。
「うん、たぶん4人より3人のほうがそういう感覚は強いと思いますよ。みんな一人一人が、『俺が支えてる』って思ってますもん」
●あとね、凄く乱暴な言い方で申し訳ないけど、やっぱり3人バンドって、みんな何か足りてないと思うんだ(笑)。
「ははははは!」
●ただその足りてないっていうことを「俺達3人の中で!」っていう、その得体の知れないエネルギーが音楽の中で奇跡を起こしたりしていくものだと思う。そういう意味では3人である意味とその中でだけしかできないことっていうのが、凄く大切なものになっていくよね。
「まぁなっていきましたね。それで人に聴いてもらってライヴの動員とか増えていって。やっぱりライヴでも3人でやってるってところで、それを観たいって言ってくれるお客さんもいっぱいいたし。そういうところはものすっごく悩みましたよね」
●そうだよね。そして3人だからこそ、お互いを信じられるか/信じられないかじゃなくて「信じるんだ!」みたいな。
「やっぱりそこがブレたら、本当に全然違うライヴになってしまいますよね。やっぱりライヴの都度、僕らはいいバンドになったなって思いますもん。凄く一つのものを……そりゃ僕ら3人とも他人というかわかり合えない部分もあるけど、ただ同じ方向を向くことはできるんですよ。何かに向かって頑張ることはできるんですよ。そういう瞬間を、やっぱりライヴは作ってくれますよね。その瞬間にレミオロメンっていうのがどんどん強くなっていくんですよ。そういう意味でも3人でやってきたことっていうのは、僕らにとって大きかったですけどね。……でもやっぱりそれとは別に、曲を作っていくっていうところになってくると、どうしても違う欲望が渦巻いてきて。そこに対して最初は踏み込めなかった部分があったけど、でもそれがストレスになるくらいだったらやってしまおう!っていう」
●やっぱり3人の音だけで構成するのに、大きなストレスが3人の中に生まれてきてた?
「うーん……どうしてやらないんだろう?っていう。なんか守ろうともしてましたよね。3ピース感を守りたいとも思ったし、だけどもっともっとやってかないと俺ら何も変わっていかない、焼き増しで終わってしまうとも思ったし。そこら辺はやっぱり凄く葛藤はあったんですよね。でも音楽がつまんなくなるくらいだったら、やっぱり変わっていくべきだと思った」
●自分らに素直になろうというよりは、自分らの音楽に素直になろうと決意を固めたんだろうね。
「そうですね。そこのよさがあってこそのレミオロメンだと思うし、そこに魅力を感じてるから3人が集まってるだけで。そこに向かっていく温度が一番大事。僕らはそうやってやってきたんじゃないかな。この次にぶつかるであろう何かっていうのはまだ全然わかんないですけど、ただ今は、この自由な感じになれたっていうのがデカいっすね。気が早いけどこのままサードとか4枚目とか行きたいなっていうくらい、テンション上がってますよね。『ああ、この距離感で歌えるならこれもこれもありじゃねえか!』みたいな」
●味をしめたんだ。
「味をしめましたよ、わりと(笑)。うん、そうですね」
●じゃあ音楽を作ってカタチにしていくのが楽しくてしょうがない?
「今楽しいっすね。すっごい楽しい。自由にいられるというか。自由っていってもまたそれも難しいんだけど、前よりも使えること・できることが増えたってことを考えると、またそこに落とし穴があるかもしれないんですけど、でも今はそれを信じて作り切るっていうかね。で、そこでまた何かにぶつかったら、また“南風”みたいなことが起こるかもしれない。そう思ってますね。だから今はもっともっといいメロディとか、もっともっといい雰囲気の何かに出会えるんじゃないかなとか、そういうのを一番感じてるかもしれないですね」
●藤巻にとってのメロディって何なんでしょうね?
「何なんでしょうねぇ。ただ僕は昔からメロディしか聴いてなかったくらい、メロディがどうなんだ?ってところが気になってたから。……何て言うのかな……真空をも伝わってくるとんでもないエネルギーのあるものだと思いますね。すーごい光のような存在、メロディって。僕にとってはそれくらいすーごいもの(笑)。だって、まぁ詞を書いてるからっていうのもあるかもしれないけど、メロディでしか開けられない心の扉とかツボとかってものがあると思うんですよね。僕はそれを信じてる。……僕はそこに神経がいっぱいあって、そこに行くのが好きだってだけかもしれないんですけどね」
●ただ、どんなメロディでも心の鍵をカチッと開けてくれるかって言ったら、全然そうじゃないんだよね(笑)。
「まぁ全然そうじゃないですよね(笑)。それがまた音楽が無限に広がっている理由なんじゃないかなって思いますね。本当にね、僕は昔から誰にでも音楽は作れるって思ってる人間なんですよ。その人の音楽があると思ってるんです、ただ興味がないから作らないだけで。もう誰でも作れると思うんですよ」
●それは違うと思うよ。
「え、だから、その人の音楽が作れるんですよ。その人の音楽が作れるっていう、それだけのこと」
●なるほどね、誰でも自分のためだけの音楽だったら作れるっていう、そういうこと?
「うん、たぶんそうだと思う」
●ただそれを分かち合ってったり、それを理解してもらうってところで……。
「やっぱりエネルギーとか技術とかいろんなものが必要なんだと思いますよ」
●僕ね、音楽には答えはないもんだと思うし、答えなんてなくていいものだと思うんですね。ただ、最近「いい音楽」っていうのはあるなと思ったんだよ。「いい音楽」と「いい音楽じゃない音楽」っていうのはあるなって。それは何かと言うと、心が入ってるか/入ってないかってこと、それと、いいメロディか/いいメロディとして聞こえないかっていうこと。そういうことってあるんじゃないかと思うんだよね。それほどメロディっていうのは音楽の心臓であって、奇跡のような得体の知れない変なものだなっていう気がするんだよね。
「何ですかねぇ。またそれを他の楽器で弾いたっていいんですよね、その旋律を。でもやっぱりそれが声に乗ってくると……人でしか感じられない何かなんでしょうかね、それって? うーん、メロディってすっごいいいですよねぇ……」
●その魔力に、曲を作り始めた時から藤巻は何となく気づいてたんだろうね。
「そうですね。……やっぱりどうしても、広さとか縮みとか奥行きとか横幅とかもあるんだけど、でもひとつ盛り上がり、だからそこに密度が、エネルギーが集中する場所が欲しいって思ってたんでしょうね。それが僕の場合はメロディだったしサビと呼ばれる部分だったし、そこがやっぱりなきゃいかんなと、そこが一番気持ちいいなと、作り始めた時から自然に思ってて。そこに行くために全てがあると、まぁそうじゃない音楽もあるんでしょうけど、作り始めはそう思ってましたね」
●そうだよね。藤巻の場合は一瞬だけでもいいから音楽の中でいろんな要素が全部一カ所に集まってガーッと高みに昇り詰めるみたいな、そういう瞬間が絶対的に欲しいんだよね。
「そう、絶対的に欲しいんですよね(笑)。それは今は絶対的に欲しい。まぁ昔からそうだったかもしれないけど」
●で、人はそこにこそポップが宿っていると思うわけですよ。
「はい(笑)」
●藤巻の場合はメロディが世界とか人の心を変えられるっていう信念が、とてもあるんでしょうね。
「うん、やっぱりそこで初めて人と繋がっていけると思ったっていうかね。人と音楽でコミュニケーションを取れる、最大の武器はそこなんじゃないかなと思ったんですよね」
●“南風”を聴いてると、前田も神宮司も、バンドの中でも繋がっていってみんなで音を鳴らしてこうっていう、芯が固まった感じがしますよね。
「やっぱり啓介も昔からプロでやってたし、もっともっといろんな音楽をやりたいって思ってたから。最近啓介が、音楽っていうのはラジオとかから聞こえてきて、説明しなくてもその一瞬でよければいいっていうふうによく言ってて。『ああ、そうだなぁ』と思うんですけど、それはセカンド・アルバムでできたんじゃないかなって思いますね。治も治で叩くの大好き人間ですけど、まぁどうせなら楽しく叩きたいっていう気持ちは、あの性格上もの凄くわかるし」
●ははははははははは!
「いや本当に、いい意味で凄くね。だからそういうレミオロメンの願望とかが全部、“南風”とこのアルバムに入ってるんじゃないかと思いますね」
●だから“南風”もそうだし、このアルバムも「バンドは3人だ、でもやれることは全部やろう」みたいな。だからビートルズも「ビートルズは4人だ。でも『サージェント・ペッパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』のジャケットには何十人も人が写ってる」みたいなさ(笑)。そんな感じだよね。
「ようやくそうなれたのかもしんないですね。3人でやってればレミオロメンなんだけど、でもレミオロメンが鳴らせるのは無限大だと思う。それは次のライヴとかで示していかないといけないとは思いますけど、でもとりあえず音としては上がったっていう。また再現していくっていう次の段階もありますけど、そこでしっかりファンの人とか聴いてくれる人に『ああ、よかったね』って言ってもらえるようにやりたいですよね」
●そうだよね。これからバンドはどうなっていきたいっていう気持ちが強いですか? この蒼々しいまま覚醒したレミオロメンは?
「やっぱまだ蒼いっすよねぇ。これは大事っすよね」
●大事大事大事! 勝手に色変えないで欲しい(笑)。この蒼々しいまま、でも覚醒した、脱皮したってことが大事だったんじゃないかな。
「遠いとこまではまだわからないですけれども、この距離感で曲と付き合えたってことは大事なんですよ。これがどのくらいいろんな人に聴いてもらえるかってことが今回わかるんですよ。どういうふうに思ってもらえるかっていうのも凄く大事なことだし。ただそれが、確実に僕らの次のステップの中では洗練されたものになってくんじゃないかなと、思う(笑)」
●どこまでも音楽とともに楽しく生きていきたいっていう気持ちは強いんですか?
「……やっぱ楽しくは生きたいっすよね。そして凄いそのヒントをくれた。やっぱりね、前はある一定の方向を向いてしか曲を作れてなかったから。その視野が広くなった時に楽しくなった部分はあったし、そういう意味ではもっともっと人と……やっぱりもっともっといろんな人と触れ合っていたいと思ってこういうアルバムができたんだと思うんですよ。そういう意味ではもっともっとそうなっていって欲しいし。もっともっとレミオロメンっていうものを使っていろんな人達がハッピーになれると思うんですよ。そういうものにしていきたいなとは思いますね」
●さっきも聞いたんですけど、やっぱり音楽を自分で作ることによって自分の考えていることの折り合いが付いてきたって言ってたじゃない。本当にその通りだなと思うのは、新しいアルバムの中のほとんどの曲の歌詞は、あなたの願望と告白ばかりですよね。
「あははははは! うーん、独白、告白、願望……どうなのかなぁ、自分ではそういう意識はなかったんですけど、でも『そういう世界があったらいいな』とか『そういう世界ってあるよね』とかね、そういう……願望? 願望ってことなのかなぁ」
●いや、藤巻はもの凄い願望マニアだと思うよ。
「願望マニアですか」
●うん。藤巻はたぶん音楽を手にする前から、願望マニアではあったんだと思うんだよね。「告げてえ! 告げてえ! 告げてえ!」みたいなさ(笑)。
「(笑)。そう、だからヴィジョンとか、サッカーとかでも自分はこういうプレーをしたいっていうのは昔からすっごいあったんですよ。ただ噛み合ってかないだけで」
●はははははははははは!
「めちゃめちゃあった(笑)。こうやってこうやってこうやれば絶対に入る!とか、凄いイメージはあって。ただそれは自分一人じゃできなかったから。でもとにかく、そういうのをイメージするのは大好きでしたね(笑)。ただ不器用なんで、いろんな段取りを踏んでくことができなかったという」
●なるほどね。だから自分と世界、自分と風、自分とあなた、みたいなものとの関係の中で、「自分はこうでさ」「俺はこうでさ」って貪欲に歌うよね。だから藤巻の動物的本能っていうのは相当強いと思うけどね。
「気づいてないんですかねぇ? いやーそうなのかなぁ。あんまりそういうふうに考えてない……あ、でもそうなのかもしんない。それがもっともっと根強いものだったのが、ちょっとだけ自由になれたっていうだけで、根本はそういうことなのかなぁ? うーん、わかんねえな……」
●そうだと思うけどな。だから本当にこのアルバムにはいろんな音が集まってるし、藤巻の中のいろんな願いや欲望も集まってるし。それが全部蒼々しいから、その蒼々しいっていうことで一つの世界に彩られて、一つのブルーに彩られているけど。あなたはとても面白いクリエイターですよ、本当に。
「これでいいのかな?(笑)」
●いや、もうこのままどんどん行って欲しいな(笑)。
「はい、行きます(笑)。いや、たぶんこれでいいんだと思います」
●では最後に。今の藤巻は、音楽っていうのは答えもないし境界線もないし、その中にいろんなものを入れていってもちゃんとしたカタチになるんだって開眼したわけだけど、そうなる前は、どうして自分の中に境界線——―3人なんだからこれだけをやってればいいんだっていう物差しを自分らの中に持ってたんだろうね? それは友情に近いものなの?
「まぁ友情に近いものはありますよね、きっと。やっぱり一番大きかったのは夢とかを共有できたっていう、そこがエネルギー源だったから。そこでレミオロメンってものが機能していったし、やっぱりその温度を分け合える人じゃなきゃとてもじゃないけどできない。その面で二人のことを凄い信用してたっていうことが大きくて。あと、それ以外のことは選択肢に入ってこなかったんですよね、ずーっと。人を増やすとか音を増やすとか。そうやっていくことがレミオロメンだと思ってたし」
●バンドをやる前から3人ともある程度知り合いだったんだよね?
「そうですね」
●この3人ていうのは、自分達のエリアの中で浮いた者同士だったの?
「(笑)どうだったかなぁ……みんなキャラ違いましたねぇ。僕はスタンダードでしたよ。啓介はお騒がせな感じの、『あいつ高校辞めちゃったよ!』みたいな、そういう感じの(笑)人でしたね。で、治は高校の後期デビューみたいな感じ」
●はははははははははは!
「そういう感じでしたね(笑)。あいつ今はイケメンですけど、当時は背もちっちゃくてそういう感じじゃなかったんですよね。可愛い子だなって感じでしたよ(笑)。で、啓介によくいじられてて、でもそこら辺から凄く仲よくなってって」
●じゃあ似た者同士じゃ全然なかったんだね。バラバラな者がお互いに集まって何となく一緒にいる、違う歯車同士で何か知らないけど噛み合ってるみたいな感じだったんだ。
「ただ一人一人は違うんだけど、僕らの温度はトータルして凄く居心地のいい集合体っていうか、仲間でしたね。一人一人が真面目だったし、というか真剣だったし。そういう温度に触発されたりってことはあって。とにかく……熱かったっすよね、いい意味で。『どうやって生きてこう?』っていうところからエロ話まで、いちいち真剣でしたね」
●エロ話も共有できて、人生の指針も共有できて。
「うん……でもバンドを組んだ時は凄くガッチリしたものを感じましたけどね」
●最初からカチッと来たの? 3人とも実はグルーヴとかノリは全然違うもの持ってるよね。性格だけじゃなくて音楽的なことも含めて。
「そうですね、キャラだけじゃなくて音も全然違いますよね。一人一人がやりたいこともちょっと違っていたりとか。それが何で繋がってるのかわからないんですけど、凄い繋がってるんですよね。それでレミオロメンの音が鳴ってるとは思いますね。でもまた出会った時に、俺がもう一回『バンドやりたい』って言ったんですけど、その時に啓介もよく決断してくれたなと思うし、治も忙しい看護学生だったんですけど一旦休学して。だからレミオロメンをやるか/やらないかってことに、一人一人が一度決断をしてるんですよね、『レミオロメンをやります』って。それが凄い強いと思うんですよ」
●それぞれの人生の中で、自分に対して「レミオロメンとして生きていくんだ」って宣言する局面があったんだよね。
「そう、それをみんなわかってるから、そこから凄い強くなった。…………うん、そこからだな!」
●だから自分とレミオロメンっていう距離感も、自分にとっての音楽も、みんなバラバラだったんだけど、そのバラバラな者同士が集まって一緒に何かをやることに意味があるって思ってた部分があったんでしょ?
「うん、そうですね。頭ごなしに何かをやりたくなかったっすよね、関係性も含めて。すごく自由だった。僕がポーンと曲出して『さあ、やろうぜ!』っていう、そのスタイルがレミオロメンをよくしてるんじゃないかなって。みんな自分ができることっていうのを凄く考えてましたよね」
●ただ、そのままじゃ永遠にはやっていけないんだなっていうことに気づいたのが、『朝顔』を出した瞬間なんだろうね。
「そうですね。何もかもが焼き増しになってくる瞬間はありましたね。ダメだなっていう。要は評価っていうものに対して、レミオロメンに繋がるいくつかのキーワードみたいなものを守んなきゃいけなんじゃないかと思った部分で、それを背負ったということはあったのかもしれないですね。だけどそれが辛さに変わっていったっていう」
●だけどそれが、小林武史さんのピアノが鳴った瞬間に氷解していったわけだよね。音楽、そして音って凄いね。
「凄いですねぇ。やっぱり僕らの気分も変わってくるし。もちろん音も変わるんだけど、僕らの音楽に対する可能性も一瞬で凄い広がるし。やっぱり面白いなってまた思えたんですよね」
●真面目な話、どこまでもデッカくなってみようよ。
「うん、デッカくなりたいですね。なりてえ。本当に、僕らにしかできない音楽があると思うし。それを自信を持ってやってるし、それでいろんな人と繋がっていきたいっていう願望は凄いあるから、そこで音楽を通じて作用して作用されて生きていきたいなっていうのはありますよね」
●僕は“電話”って曲を聴いた時に、予感として「この人達の音楽の種はデカそうだな」って思ったんですけど、今回の“南風”を聴いて確信しました。レミオロメンって音楽の種はデカいんだよ、絶対に。だからどんどんデカくなってくしかないんだよ。
「よし……デカくなりたいですね。デカくなりたい」
●じゃあまずはその第一弾の花を今回のアルバムと武道館でデッカく咲かせてください。
「そうですね、この日は凄く楽しみにしてるんで。楽しみにしてください。いろいろありがとうございます」F


*レミオロメン/藤巻亮太にとってのロックとは?
僕にとってのロックは、葛藤です。

Last Update : 2005年02月04日 (金) 01:10

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