●まずは、その髪の毛を雑誌で見てびっくりしたんだけど。
「(笑)ああ」
●ずーっと伸ばしてたの?
「伸ばしてたって言うか。まあ、伸びちゃったって言うか」
●ははははは! 切るヒマもないくらいバンドやってた?
「いや、全然ヒマはあったけど(笑)、出かけんのがヤだったからさ」
●(笑)7ヶ月ぶりくらいにお会いするんですけど、その間は音を出すか呑んでるかの毎日でしたか。
「そうだね、他に特にやることもなく………いや、別に……普通。いつもそうじゃん?」
●はい(笑)。今回イマイ(アキノブ/G)さんと佐藤(稔/Dr)さんとの出会いがあって4ピース・バンドになったわけだけど、そこに行くまでいろんな人達と音を合わせたりしたんだよね?
「うん。ドラマーは3人かな? 佐藤くんの前にね。ギターはねぇ、……えーと、二人か」
●それはスタジオで、コード合わせとかしたりしながら合わせてったの?
「うん? あんまコード合わせとかしないもん……そんなもん、やらねーよ(笑)。誰か弾き始めた奴に合わせてったりとか。まあ俺が弾いたりとかもあるし」
●そこでイマイさんと佐藤さんとは自分の中で何かピタッと来たんだ。
「そうだね、うん。あのね、イマイくんはねぇ、面白かったよ」
●アルバム聴いて本当に4人が同じ一線に並んでると思ったんだけど、イマイさんと佐藤さんについての情報が少ないじゃない? だからチバの口からメンバー紹介してほしいんですよ。
「はい。イマイくんは……何だろうな……俺のイメージだとウサギみたいな人だなって思うけど(笑)」
●ははは! 目が赤いってこと?
「違うよ! うーん、なんかぴょんぴょん跳ねてる感じかなぁ(笑)。……怒られそうだなあ」
●(笑)。本当に言葉通りなんだろうね。セッションしながらよくコケてるって言ってたもんね。
「ああ! でもそれはちょっと違うんだけどな、そのコケてるっていうのとは。跳ねてるね、いろんなもんが(笑)。ギターも跳ねてんだよ」
●じゃあ佐藤さんは? 佐藤さんって人のよさそうな顔してるよね。
「ああそう!? そんなことないよぉ!!」
●違うんだ(笑)。
「ははははは。ああでも、人いいのかなぁ。どんなんだろう……いや、いい奴だけど。でも悪い人だな(笑)。そう、悪い人だよ。だからいいんだよ(笑)」
●はははははは! イマイさんみたいに動物にたとえるとどんな感じですか?
「……なんか1拍1拍にさ……あ、動物か」
●いや、いいよいいよ。語って。
「1拍1拍にノリのある人っていうかね。ドンッタンッのその間に……かな」
●グルーヴがある?
「そうだね。そっち(グルーヴ)をすごく見据えようとしている人かな」
●やっぱリズムの人なんだ。
「うん、楽器わかんねえって言ってたからね」
●ギターのコードとか?
「そう。『あのCのところもう1回やりたい』とか言うと、イマイくんと照さんはわかるけど……まぁ普通ドラマーはわかんないと思うけどさ」
●そう? だってキュウちゃんはわかったでしょ?
「いや、たぶんわかってないと思うよ」
●ははははははは! そういうもん?
「うん、そういうもん(笑)。別にそんなのどうでもいいんじゃない?」
●そうなんだろうね。大事なことはそこにはないんだろうね。
「そうそうそう。大体おおよそでやってんじゃないかな、入った瞬間はね」
●バンドでは、ひたすらこのスタジオで音を鳴らし続けてたの? たとえば山中湖に合宿に行きましたとか、何か親交を深めるってことはあったの?
「ない」
●要らねえ?
「うん、別に親交深めなくても、音出してりゃ徐々に親交は深まってくからね。ロック・バンドですから(笑)」
●失礼しました。スタジオに入るとひたすら音を鳴らしてたんだってね。チバの中でそういう経験って、ロックを始めた頃に近かったりするんですか?
「あぁ、昨日もそういう話をしててさあ。何て言うのかな、一番最初にギターを買った時に、まぁコードが弾けるようになったりするじゃんか。そんで、たとえばコードが動かせるようになった時とかの喜びみたいなのに近いもんは、今もあるよ。それがない時もあるんだよ。でも今は、それがある」
●それは今の4人でROSSOを始めた瞬間から得られたものなの?
「まぁ一番最初っからはないけどね。やっぱりこないだ録ったレコーディングの曲よりもさ………最近もずっとスタジオ入ってるんだけど、曲もどんどん出来ちゃうんだけど(笑)。最近作ってる曲のほうが演奏の感じはすごくいいなぁと思うけどね」
●どんどんどんどん成長してるんだよね。ただ今年入ってから相当やってたんでしょ。照さんが、原石みたいな曲だったら60曲はあるぜって言ってたんだけど。
「うん、あると思う。ははは」
●チバは今まで百何十曲ってくらいたくさんの曲を作ってきたじゃない。この60曲は、自分の中でそれらとは違うものがありましたか。
「うーん、まぁ……全部が全部違うとは思わないけど。たとえば家で思いついたことを持ってきたりとかっていうのは、昔と変わらないけどね。もちろんここ(スタジオ)で一気に出来たのもあるけど。………別に変わりはしないよ。バンドが変わっただけだよ」
●僕にはアルバム全体がひとつのセッションに聴こえたんです。僕が感じてた今までのチバの印象は、思い浮かんだひとつの言葉やひとつの絵があって、そこに音を足してったり言葉を足してったりしながら、それを音楽にしていくっていうものだったのね。たとえば『ロデオ・タンデム・ビート・スペクター』だったらその言葉を家の冷蔵庫に貼ったって言ってたけど、そこから絵を描くように作っていく。でも今回は先に音楽が鳴っちゃって、そこに意味とかキーワードを後付けしていってるんじゃないかと思った。
「うーん、まぁ後付けって言うとちょっと違うかもしれないけど、でも……まぁアルバムのタイトルは結構早くに思ってたんだけど」
●『DIRTY KARAT』?
「うん、それは6月くらいかな。まだ(曲を)録ってない頃」
●それ以外はやっぱり音に導かれてるものが多かった?
「うん、まぁ曲も多いしね。とにかく沢山あったからさ(笑)、詞もなかなか追いつかなかったけど」
●そりゃそうだ(笑)。この“ダーティ・カラット”っていうのはどういう意味で付けたんですか。
「(大きな声で)“ダーティ・キャラット”ね。“カラット”って書いてあんだけど、“キャラット”って言うようにしてんだけど」
●キャラットね(笑)。これはどういうイメージなの?
「……なんか、『ワイルドサイドを歩け』みたいな感じ……………かな(笑)」
●うんうん。それってチバが音楽で、ずーっと考えてきてることだよね。
「うーん…………そうかな(笑)。そっか…………なんかこう、上手く言えないけど、でも『DIRTY KARAT』って感じの演奏をしてたので、そう付けました(笑)」
●やっぱイメージからじゃなくて、そこで鳴ってる音からいろいろなことが派生したんだね
「あぁ、そういうことか。そう、だよ。演奏から付けたんだよ」
●ワイルドサイドで音が鳴ってるんですね。
「そうだね」
●そもそもチバは、そういうワイルドとか不良の音楽とか、そういう匂いに導かれてロックに引き寄せられていったんですか。
「うーーん、どうなのかな。中学の時に先輩がストレイ・キャッツ聴いてたとかいう感じかな、そういうことで言ったら」
●ははは! それはわかりやすいワルだね。
「そうだね(笑)」
●パンクの中からやっぱりそういう匂いを嗅ぎ取った?
「あんまり悪いとかいうのはわかんないけど、単純にカッコいいと思ったのは確かだけどね。でも…………悪いとかいう感じじゃなかった。パンクは、純粋な感じはしたかな」
●まあね(笑)。今回、“これだけロック・バンドをやり続けた上でまた新しいバンドを始めて、それでこれだけセッションを重ねて無邪気に音を出しちゃってる俺ら”っていう部分はすごく重要だったんじゃない?
「重要って言うか……(笑)ま、あんまり邪魔はされたくはなかったかな、音を出すことに対しては。やりたかったのはそれ(音を出す)だけだったから」
●前にさ、「俺が音楽を鳴らしてるっていうよりは、俺そのものが音楽なんだよ」ってことを話してたじゃない。
「えぇ、(笑)すげぇこと言ってる」
●すげぇこと言ってた(笑)。その感触は未だにある?
「そうだね………ふふふ、すげぇ、それ。でもたぶん4人が4人、みんなそう思ってるんじゃないかな」
●だと思うんですよ。だから自分の歌詞の世界とか音の世界を鳴らしたいアルバムっていうよりも、“俺達”ってものを鳴らしたいアルバムって感じに聴こえるのね。
「ふーん、そうだね、そう……なのかな。あんま、うーん…………いやでも、もちろん人に聴いて欲しいなと思ってるよ、うん、知って欲しいっていうかさ」
●チバは自分を知ってもらうためには、やっぱりロック・バンドをやりたいって気持ちはすごく強い?
「……………………」
●簡単に言っちゃうと、バンド以外にもいろんな選択肢があったと思うんですよ。
「ないよ、選択肢なんて。だって何やんの?」
●ソロ。
「ああぁ〜!!…………ないだろうね(笑)」
●考えられない?
「考えられないね。うーん……たぶんね、わかんないんだけど、全部一人でやっても刺激がないからね。……全部が全部、自分の思った通りになってたら何にも面白くないっていうかね。何でもそうだと思うんだ。何て言うのかなぁ、もちろんある程度自分の中で完成させていった曲とかもあるけど、でも『こんな感じのベースを弾いてくれ』とか『こんな感じのギター・ソロを入れてくれ』とか一切言わないからさ。……そんなこと言ってもね、面白くないし。ソロはそういうことやるだろ? 考えられないね」
●ROSSOはそれを言わなくても、っていうか勝手にみんなから出てきそうだね。
「うん(笑)、それが多過ぎてね、大変なんだよ」
●はははははは。
「へへへへ、出てき過ぎちゃってまとめられないよ」
●それでどんどん曲が生まれてきちゃうんだ。
「うん、やっぱり常に新しい感じのことやりたいとは思ってるな。たとえば、まぁ今だったら週に2、3回このスタジオ入るんだけど、その集まった時に知らない曲っていうか、新しい曲をやりたいんだよね」
●ああ、前に作った曲じゃなくて?
「うん。たとえば4時間入ってたら3時間はずっとセッションしてる。だから新しい曲が出来ちゃうんだよ(笑)。で1時間は『あの曲やってみよう』とか(笑)」
●そうなんだ。それじゃ曲として整理できないじゃん。
「だからそれをね、ありがたいことにスタッフに全部ハード・ディスクに録ってもらってて。で、編集してもらって聴くんだ」
●こうやって話を聞けば聞くほど、今回よくアルバム1枚にまとめたなって思うよ。
「いや、俺もそれはすごいと思うよ。絶対無理だと思ったからね。でも曲選びに関しては、結構委せてもらったとこもあるし。で、レコーディングの本チャンでぶっつけでやってみて『なんかグッと来ないな』っていう曲もあったから、それはどんどんカットしてって……………何とかまとまりました(笑)」
●アルバム全体の流れは、最初から大騒ぎしていって、曲が進むにつれてだんだん静かになる。でもそれぞれの曲が浮かべている強さと狂気は一定のレベルが続いていく。そういう印象を持ったのね。
「そうだね、そういう感じかな。曲順に関してはみんなでああでもねえ、こうでもねえって言って。あとはシングルに何を入れるかっていうのは…………大変だった(笑)」
●大変そうだね(笑)。ただすごい簡単な言葉で言っちゃうと、全体を通して言えるのは「音を鳴らしてる喜び」だと思うんですよ。それに対して一番嘘をついてないセレクトをしていったんじゃないかなと思うんだけど。
「うーん……だから結構ほんとに一番最初の頃に録った曲っていうのは少ないかもしれない。何曲かしかないんじゃないかな。まぁ、曲に関しては全部の曲に決着を付けたかったんだけど。やっぱりレコードにするって部分でひとつ決着が付くって部分はあったんだけど。でもまぁ今やってもあんま燃えねえなって曲は、しばらく放っておこうかっていう」
●うんうん。殺さないで放っておくっていう。
「その辺はさ、スタッフに1回書き出してくれって言ってんだ(笑)」
●はははははははは!
「あははは。多過ぎて忘れちゃってるんだよ。やっぱスタジオ入るのが一番楽しいね。……それがまたライヴやることによってちょっと変わるだろうし。そしてまたスタジオ入って………楽しいね(笑)」
●やっぱりチバの中で、新しい自分の音楽人生は音楽にダイレクトな場所から始めたかったんだろうね。
「ん? どういうこと?」
●要するに、元ミッシェルの俺が何をやろうかとか、世の中が何を求めてるのかとか、そういうのが関係ない場所で自分の中から出てくるものを作ってくっていう。
「別に何にも求められてねえもん」
●いや、すごい求められてるって。みんなあなたが復活するの待ってたんだよ。
「復活(笑)。いやいやいや……………へへへ」
●何照れてんの?(笑)。
「いや、嬉しいなぁと思って」
●いや、本当に待ってたと思う。それだけのものを作ってきたしね、前のバンドのメンバーと共にチバは。あなた自身もそれに値する曲を歌ってきたし。そういうプレッシャーはなかった?
「うーん、いや…………なかったね。普通に……何だろ、毎回ここでリハやってる時に録ってもらった音とかを持って帰ったりして、聴いててカッコいいなとか思ったし。その繰り返しだけだったよ」
●それで全部が埋まってった感じなんだ?
「うん。今んとこはなんか……シングルを聴いた信用できる奴から留守電が入ってる(笑)」
● 留守電が入るってことは、気に入ったってことだろ?
「(頷く)」
● やったじゃん。
「うん、それは嬉しいかな(笑)。『聴いたよー』っつって」
●反響は熱いですか?
「うん……まぁ、みんな結構熱い奴だから(笑)」
●歌詞についてなんですけど、歌いたいことは自然と出てきた?
「うん。全然考えないね。まぁ作り方は前と一緒だけどね。……“1000のタンバリン”に関しても、殴り書きでずーっと書くんだけど、書いてる文字の数っていうのは歌とはまったく合ってないんだよ、最初は。だからものすごく長くて、そこに入り切らなかった景色とかもあるんだけど、それをいかに入れていくかっていうかさ」
●チバっていつもそうなの?
「うん。ここ5年くらいかな、もうちょっとかな。そうやってるよ」
●そうなんだ。じゃあ原型があるんだ、チバの歌には。
「あるよ(笑)。教えないよ」
●(笑)それをシェイプして音楽にしていくわけね。それってすごく難しいことじゃない?
「え、そうかなぁ?」
●だって小説を脚本にしていくみたいなもんじゃん。
「そんなことしたことないからわかんないよ(笑)。でもそういうのがなかったら……ないほうが辛いよ」
●(笑)。やっぱりメロディに合わせて作るよりも、見せたい世界と歌いたい世界があるってことだよね。
「そうだね。まぁだから、メロディとかと同時に言葉が出てくる時もあるけど、大抵はそうやってダラダラダラダラ書いてるよ」
●それはすごいよ。だってね、小説家は脚本家になれないし、脚本家は小説家になれないんだわ。特に詞ってそんなに説明的なものじゃなくて、散文的なものじゃん。それを自分の言いたいことに嘘をつかないでもう1回歌のために変えていくっていうのは、すごく難しい作業だと思う。
「ふーん」
●ずーっとそうやってきたんだ。
「そうだねぇ。絵描いたりしながら、ダラダラ書くんだよ」
●今度それ見たい。
「いや。見せたくないよ(笑)」
●詩集出せばいいじゃん。
「やだよ!」
●なんで?
「必要ない」
●そっか。やっぱりそこで音が鳴ってないとダメ?
「そうだね(笑)。そう、音ってね、俺やっぱり一番広がるもんだと思ってんのね。そうじゃないかなって気がしてて。俺本読まないし、映画は好きだけど……なんか一番想像力が働くのは音楽じゃないかなって思ってるよ。まぁ俺の中では音楽なんだよね。…………昨日さ、『音楽って何ですか?』って聞かれて、俺は『宇宙』って答えたんだよ」
●歌詞の中で「宇宙」って言葉をよく使うよね。
「うん。好きなんだよね」
●今それが解明されたね。
「そうかぁ?(笑)」
●だってつまり音楽だってことを言ってるわけでしょ。
「そうそうそう! 昨日そうやって言ったんだ。……酔っ払って(笑)」
●いつものことじゃん。素直になっただけじゃん。
「(笑)」
●宇宙に自分のことをまき散らしてるんだよね。
「違う違う違う。音自体が宇宙なんだわ」
●ひとつひとつの音が星の屑なんだ。
「違う違う違う。もっとね……そのものではないんだよ」
●無限?
「うん、そう。その無限の可能性は感じてる」
●やってけばやってくほど、無限が広がってく?
「そうだね、今はね。ROSSOでは広がってくよ」
●よかったね。
「(笑)。うん」
●いや、真面目に。
「うん、よかったと思うよ(笑)」
●出会いだよね、やっぱり。
「そうだねぇ…………ねえ、あれやっぱり本当に出来るらしいね」
●何が?
「宇宙にエスカレーター」
●(笑)かけてほしいか?
「いや、俺が作った曲は“惑星にエスカレーター”って曲だけどさ(笑)。あ、だからエスカレーターじゃなかったんだよ、結局。俺、エスカレーターとエレベーター(の区別が)わかんなくて」
●ははははは!
「エレベーターが出来るって言ってたよ」
●うん、大して難しくないらしいよ。
「宇宙ステーションにそれを繋げられるってね」
●行きたい?
「全然行きたくない」
●でしょ? そんなもん作らないでくれって思わない?
「ううん、そんなことは全然思わないよ」
●でもそれをチバは自分の音楽で鳴らせるじゃん。実際に宇宙を見る見ないじゃなくてさ。
「うーん、まぁカッコよく言えばそうなのかもしんないけど。………別に宇宙なんてどこにでもあるよ………」
●その通りだね。わかりました。プロモーションとかも含めて、こうやってもう一度世の中に出て行くってことをやり始めてるんだよね。緊張しますか?
「ああ、緊張は(笑)…………緊張よりも余計なことをしないようにしようとか、余計なことを言わないようにしようとは思ってる。だからいっつも取材のあと反省する」
●なんで?
「いや、言わなくてもよかったなぁとか。今日も反省する(笑)」
●あのさ、よく喋るようになったね。
「うん。最近よく喋る。あんま人と喋ってねえから、はははは」
●ははははは! 正直ちょっとびっくりしてるんだよ。これはやっぱり“始まり”っていうワクワクが自分にいろんなことを話させてるんだろうね。
「まぁその、ビール呑んでるのもあるんだけど(笑)、なんかその……曲を聴きゃ一発なんだけど、喋んなきゃいけないんだったら、説明しなきゃいけないんだったら、ある程度自分の考えてることを言ったほうがいいんじゃないかなって、今は思ってんの」
●だから、なんでそんな気持ちになったの? そう思えない時期もあったじゃん。
「……あのね、仕事が少ないの(笑)」
●あはははははははははは!
「ははははは! ヒマでねえ(笑)」
●もうさあ、怖いことばっかやってるから、みんな近寄らなくなったんだよ(笑)。
「はははは! いやでも、ないほうが助かるんだけど、でもその……ま、1回あんまり閉じこもるなって怒られたことがあって。今そういう時だなって思ったから行ってみてんだよね(笑)。これでまた面倒くさくなってきたら、また『今日(取材に)行かない』とか言うんだろうけど(笑)、今はそれこそ……今のROSSOをちゃんと伝えることができればいいなと思ってるので」
●理屈じゃなくて本当にそういう気持ちになってるんだろうね。「音楽なんて鳴ってるものがすべてだ」って言っちゃえばそうなのかもしれないけど、でも鳴らしてる俺が喋ってるんだからそこに嘘はないだろうとか。そういういろんな気持ちがチバの中でフラットになってるんだと思うな。
「そうだね。フラットだね、今の俺は」
●そうやってフラットにさせてくれたのも、やっぱりこの半年間4人で音を鳴らしてた時間とか絆のおかげなのかな。
「まぁでもビール呑めないと全然喋れないんだけどさ」
●相変わらずダメ?(笑)。
「うん、ダメ。コミュニケーション取れない」
●一定量ならいいんだけどね。お前、飲み過ぎちゃうとまたね。
「飲み過ぎたらもう、俺のほうから(取材を)ブッ壊しちゃうからね」
●(笑)。僕はこのアルバムは素晴らしいロックの塊だと思うんだけど、まだロックっていう生き物の手足がにょきっと出てきた瞬間のアルバムだとも思うし。だからそういう意味では、すごく青臭いアルバムだとも思うんですよね。
「ふーん」
●すごく頭のいいロックを知り尽くした人間が作った赤ん坊のように聴こえるんですよ。何にも知らない赤ん坊じゃないんだけど、でも赤ん坊。ロックの知性と野性を備えた赤ん坊。
「うーん…………ははは。昨日ねえ、佐藤くんが『音楽は赤ん坊だ』って言ってたな」
●お、かぶったね。
「おう(笑)。今ふと思った」
●音楽は赤ん坊であればあるほど素晴らしいんじゃないの?
「うーん……そうだね、そりゃそうだよ」
●『DIRTY KARAT』は赤ん坊だね。
「いやあ、まだまだ。……胎児だよ(笑)」
●オッケー(笑)。これからバアッと出してください!
「まあでもツアーがあるのでなかなか出せないっすけど(笑)。でもライヴの時にね、ライヴで新曲とかもガッツリやれればいいなと思ってる」
●お疲れさまでした。―――あ、ちょっと聞きたいことがあったんだ。チバってラジオに何か思い出ある?
「あるよお! 俺、ラジオやってたもん」
●そう?
「やってたよ。最初収録で。そのあと生で、2時間」
●自分がパーソナリティで?
「そうそう。エディ・アンド・ザ・ホット・ロッズ1時間とかかけてた(笑)」
●(笑)。ラジオは好きですか?
「そん時はもうべろんべろんでやってて、まったく覚えてない時とかあったんだよね。あと……地震があった時に『津波が来ます!』って言っちゃったんだよね(笑)」
●あっはっはっはっはっは!! 何の確証もなしに? 酷いよ、それ。
「うん。『訂正してくださーい!!!!!』って言われたけど(笑)」
●(笑)学生時代は聴いてた?
「……小学校の時ぐらいじゃないの? アース・ウィンド&ファイヤーとか。それは結構覚えてるかな」
●じゃあパンクとかは自分の足や学校で知ったの?
「先輩にカセットもらったりとか、あとはその頃貸しレコード屋ってのがあったから、そこでパクったりとかだね、ははは」★
*チバユウスケにとってロックとは?
「自分にとってロックとは、自分そのものだと思ってます。……サヨナラ」