レミオロメン『3月9日武道館ライブ』(Live DVD/6月29日発売/宣伝原稿より)

photo センスの良いライティングこそあったものの、3月9日に開催されたレミオロメンの武道館ライヴは「いい音楽」だけしかない、とてもシンプルな音楽祭だった。もはやレミオロメンの武道館のチケットが即日ソールド・アウトとなることに誰も疑問を抱かないし、むしろ彼らはこれからもっと大きなステージに進出していくと思う。だからこの日のシンプルなライヴを「通過点に過ぎない」という一言で済ませても何ら問題ないかもしれない。
 しかし。やはり違うのだ、武道館は。ロック・バンドであるならば、日本武道館は聖地として意識せざるを負えないオーラを放つ場所なのだ。実際にこの日、初めてステージに立った3人はその強い磁場と広さにプレッシャーを感じたという。日本武道館には魔物が潜んでいる。そしてロックもまた魔物を抱えた音楽である。「魔物が魔物と戯れるライヴ」、それがロック・バンドの武道館ライヴだ。
 レミオロメンはこの日、彼らなりの勝負を武道館に挑んだのだと思う。それは「ロック・バンドとして」武道館を超えるのではなく、「ロック・ソングとして」武道館を超えるという勝負だったように感じた。とてもシンプルなステージやライヴの進行の中で徐々に高まっていったのは、「名曲」が放つオーラだった。名曲にメンバー自身とオーディエンスが引き込まれていくような、まるで光に包み込まれるような神秘的な空間が生まれたことを、あの場にいた全ての人が感じたことと思う。
 レミオロメンが『ether[エーテル]』というアルバムで放ったエネルギー、それこそがこの夜に放たれた「名曲の突破力」だった。ロックであることやバンドで音を鳴らし合うという付加価値に濁ることなく、逆にロックやバンド・グルーヴに「名曲から放たれる光」を投射することによってポップ・ミュージックを新しいステージに進化させる力――――レミオロメンは今、「音楽に対しての純潔さだけで何処まで行けるのか?」という旅の船を漕ぎ始めている。その出発点が、この武道館ライヴの日でもあり、アルバム『ether[エーテル]』のリリース日でもあった「3月9日」だったのだ。

 パンクだ、ヒップホップだ、夏だレゲエだ、ギターロックの復権だ…………そんな狭くて窮屈なムーヴメントはもう沢山だ。思いっきり息を吸って吐くように、何でも吸って名曲を吐く「自由で大きな音楽」が今、僕らが本当に必要としている音楽だ。オアシス、レッド・ホット・チリ・ペッパーズ、そしてミスター・チルドレンの名を出すまでもなく、理屈や時代を超えた場所で鳴り響く名曲を生み出すバンドこそが、最も過激にリスナーの心をさらっていく。そんな過激な季節を呼び込む決意を鳴らしたレミオロメンのドキュメントが、ここにある。物語仕立てでもなければ、インタヴューが挿入されているわけでもない。武道館とバンドとリスナーと音楽だけしか映っていない、「ただの音楽」なDVD。しかし、この中に全てがあることを、僕らはもうわかっている。

Last Update : 2005年06月20日 (月) 18:42


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