FILM BEAT #1(コンピレーションAL/ライナーノーツより)

photoスピードのかなたでロックと映画は激しく愛し合う!







 どうですか、こんな選曲のDJパーティーに行きたいと思うでしょう。幸せでしょう。これだけ素晴らしいアーティストの名曲が並ぶコンピレーションも珍しいですが、それが現在の映像と音楽の新しい恋愛関係を言い表しているとも言えるのです。さあ、鮮やかな景色を思い浮かべながら聴いてください。

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 80年代に入ってからのロックやポップ・ミュージックはMTVに端を発したビデオ・クリップ・ムーヴメントとベッドを共にし、成功のカギは如何に印象に残るクリップを作れるかにかかっていた。マイケル・ジャクソンがあれだけ現象化したのは、ヘタな映画より金も技術も投入したクリップのおかげだと言い切ってもいい。ならば何故80年代のロックやポップ・ミュージックが映像を必要としたのか?――戸惑っていたからだ。時代の中で何を表現すべきか困惑していたからだ。その中で音楽以外の要素、つまり映像に力を向けて時代と寝るのは必然的な打開策だった。つまり、あの時の音楽と映像はモラトリアムな関係だったのだ。

 現在の音楽と映像の関係は80年代のそれとは真逆なものだ。音楽も映像や映画も何も迷っていないからだ。表現したいメッセージははっきりしているし、音楽はオルタナティヴ・ブーム以降自由な表現を獲得したし、映像はインディ・ブームで裾野や可能性が広がった。音楽も映画も健全にラジカルに繋がっている。だからこそ、ここに収められている楽曲は、それぞれの映画の飾りではなく骨となっているものばかりだ。

 何故映画は音楽を必要とするのか?――「ビート感」だ。胸を掻き毟るような衝動にまかせたストーリー、スピードの彼方で愛し合うドラッグ・ムービー、背中に張り付いて取れないようなゆる〜い狂気………それらをバキッと表すのは、数多くの説明や台詞より一発の「音」だからだ。特にこの10年の中で邦楽ロックや邦楽ポップ・ミュージックはめざましい進化を遂げた。無限にも近い可能性と表現性を鳴らすようになった。その結果、映画や映像がロックやポップにサポートを求めてきたのは、これまた必然だったのだろう。そしてロックやポップ自体もさらに走れるようになるのだ。

 これからも当分の間はこの流れが続くことと思う。こういう素晴らしいコンピレーションが再び作れるほどの素晴らしいコラボレーションをこれからの音楽や映像にも期待しながら、今はこの素晴らしいサウンド・シーンの中で溺れよう。



 

Last Update : 2004年07月10日 (土) 21:47


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