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2005/01/30 (日)

『HOLIDAY INN BLACK』店頭発売も売り切りました! ありがとう!!

 昨日の東京スカパラダイスオーケストラのライヴは最高だったな。あれこそファンタジーだった。何度傷を負っても輝きが失せないファンタジーがある――――それがスカパラだと改めて感じた。ライヴが終わった後で、谷中から「もう帰っちまったか? 浦安で呑むぞ」というメールをもらった。あー、これで浦安全壊かと思うと、元住民としてやり切れない思いがした(笑)。
 久しぶりにステージで観た谷中は、また一回りグレートになっていて、猛獣っぷりも増していた。酒が男を猛獣にすることは歴史が証明しているが、呑んでいる最中に猛獣として暴れる谷中は、本当に街一つぐらい破壊してしまいそうで楽しい。
 そう言えば、ライヴの前日の金曜、地下鉄の中で偶然にドラムの欣ちゃんと遭遇したのだった。まるでエチケットが歩いているかのような欣ちゃんは、僕を見つけるとすくっと立ち上がりまず握手、そして満面の笑顔でそのまま如何に完成したニュー・アルバムが素晴らしいかについてまくしたててくれた。渋谷で降りようとすると、「降りちゃうの? もうちょっといいじゃん」と、まるでおでん屋のオヤジのようなことを言いながら、さらに今のバンドの充実っぷりを話してくれた。「欣ちゃんは今日、これから何すんの?」と訊ねると、「これから何本もインタヴュー受けるの」と言う。これから腐るほどアルバムについて聞かれ答えるのに、今ここで相手を地下鉄から降ろさない勢いでアルバムの素晴らしさを語る男がいる。こういう尊厳に値する音楽馬鹿がいる限り、僕も頑張れると幸せな気持ちにさせてもらった。

  ◇     ◇     ◇     ◇     ◇     ◇     ◇

 今日は肩があがらない。
 理由ははっきりしている。
 PSPだ。
 念願のプレゼントをもらった。
 
 あれは凄い。デザインが凄い。大の大人が電車の中で真剣にやっても可笑しくないような、シックとサイバーの理想的な融合が成されたデザイン。しかもずっしりくる重さ。浜名湖名物、夜のお菓子「うなぎパイ」に似たフォルム。何から何まで最高。ゲームがどうではなく、モノとしてまずしっくりきた。子供の頃、超合金ロボットをカバンに入れているだけで自分が無敵になった気がしたが、まさにそんな感じだ。超合金ゲームな感じ。
 リッジ・レーサーをやっている。とりあえず買った瞬間に解説書を読まないで出来るゲームが、僕の場合はレース・ゲームしかないからだ。解説書、大嫌い。
 
 すっげえ面白くて、始めたら終わらない。ずっとやっているから、ワールド・ツアーのベーシック・ツアーをクリアしてプロ・ツアーに突入した。もうね、体を揺らしてやっている。合唱団やオペラ歌手のように、優雅に体を右に左に。時にカイリー・ミノーグのバック・ダンサーのように体をくねらせたりヴォーキングのような舞いを披露しながら車をドリフトさせるんだ。僕はね、バスに乗っていても、曲がる時は体を傾けたりして自分が運転している気になることがよくある。
 しかし。やり過ぎで腕が上がらなくなってきた。特に左手。右手がアクセル、左手がハンドル。だから左手の動きのほうが活発だし派手だ。もうね、筋が痛くて痛くて、ちょっと右手より肩や二の腕が腫れちゃっている。いてー。

 一つアドバイスを。風呂場でゲームやると(勿論、湯がはってない、乾燥しているときです)最高に気分が入るぜ。エコーがかかるから、ドリフトする音の迫力が全然違うのだ。しかし、風呂場は寒い。だからそこでずっとやっていると、筋肉が張ったり、筋が間違った方向に伸びたりする。みんなも注意してください。風呂場でゲームするのに注意じゃないです。ゲームは風呂場でやってください。やるんです。しかし、筋肉の伸び縮みに注意ですよ。

  ◇     ◇     ◇     ◇     ◇     ◇     ◇

 人体の不思議展についてのメールがとどまるところを知らない。さらにエグい報告もあれば、「山手線に広告が出ていて、それが人体の形をした血管だから見ちゃだめだよ」とかいう忠告もあり、意外に多いのが彼氏や彼女と一緒に行って、相手の盛り上がりっぷりに愛ってなんだろう? しちゃったという話だったりもした。人にのろけのメールを送るなっつーの。あーそうそう。殆んどが西洋人だったことを含め、アレがとても大きいと。ビックリするようなナスだったという報告もありました。
 そして何通か来たのが、「あれは死体じゃないです。その考え方には疑問を感じる。あれは人間の標本なんです。今までも人間がやってきたことの一環なんです、あの展覧会は。人間が人間である以上、人間の体がどうなのかを知りたいのは当たり前です。だからそれを知るために標本を見るだけなんです」といったものだった。死体ではなく標本なんだという指摘は、かなりもらった。なるほどなあと深く思うと共に、でも自分にとっては二文字の言葉が変わっただけで、意識が変わるような意見にはならなかった。

 僕は一人っ子のようなものだったし、自分の近くでとても多くの死に接してきた。だから、「人間はみんな一人一人だからこそ、どこか繋がっている筈なんだ」と思ってきたし、死んでしまった後の亡骸は人に見られるべきものじゃないという気持ちが強い。なもので、やっぱり嫌なのだ。偏見だとわかってはいるが、人間が標本になるというその行為自体、受け付けることができない。あの展覧会は自分から望んで人体を提供した方の体が並んでいるらしい。実は僕の父親は死んだ時にいろいろな臓器を提供する契約を結び、そして「人口透析患者」だったので研究のために死後の解剖を許諾する約束をして亡くなった。展覧会に体を提供している人と、ある意味意識は同じなのだろう。
 でもわからない。父親の解剖もとても切なかった。―――そうだ、わからないのではない、哀しいことに思えるのだ。人体の不思議展は単純に恐いし、意識を働かせると哀しい。だから嫌なのだ。
 こうやって書いていくと、いろいろなことが繋がって理解の幅が広がる。が、まだ標本であるということ、いや、標本だからという受け止め方自体には疑問を感じる。正直わかっているのだ、「これは自分の問題なのだ」と。僕は標本という言葉を使うほど、まだ「死」を客観的に見つめることが出来ない人間なのだ。

  ◇     ◇     ◇     ◇     ◇     ◇     ◇

 今日は、HOLIDAY INN BLACKの恵比寿リキッド・ルームでの店頭発売日でした。おかげさまで店頭販売分もすぐにソールドアウトしました。ありがとうございました。
 と共に、チケットを買えないままリキッドルームから帰っていただいた方が何十人もいたという話をスタッフから聞きました。とても残念です。そしてごめんなさい。
 インターネット予約分のキャンセルなどもチェックして、2月6日に最後の販売を行ないます。わざわざリキッドまで来ていただいたのにチケットを買えなかった方、どうかこの最後の機会でゲットしてください。待っています! 
 詳しいことはリキッドルーム恵比寿のホームページに飛んでチェックしてください。そしてチケットをゲットされた方々は、どうか1日中、パーティーを楽しんで下さい。あなたのヴァイヴでパーティーを走らせてやってください。一緒に楽しみましょう。

 月曜にフリーマーケットの応募のチェックをさせてもらいます。それを楽しみに、左手が上がらないので、右向きになって左手を上にして眠ります。 



2005/01/26 (水)

今日は何があったわけではないが、でもやたらドキドキさせられた。

 何にって、それはみんなから届いたメールにだ。

 だって、やたらめったら、「人体の不思議展」に行った人からのレポートが送られてくるんだぜ? それも結構リアルに。どうやら一番面白かったのは、ヘビースモーカーの汚れた肺だったらしい。それも触れたのだそうだ。何なんだ、その情報は。
 時に人体の不思議メールじゃないものが来たかと思えば、それは「死体について考えてみました」というレポートだったり、「いつも鹿野さんの日記、昼ご飯食べながら読んでいて、ウンコ話は勘弁と思いながら笑ってしまいましたが、さすがに今回はね、ちょっとキツかったっす。でも無事、弁当を完食しました」というお叱りなのかエールなのか判断つかないものまで来た。あ、忘れてた。「鹿野さんはB'zを好きな人に会ったことがないと言われてましたが、僕はB'z大好きです。鹿野さん、出会いましたよ、ここで」というものもあった。親族にケミストリーのコンサートのチケット取ってくれとかはいたが、B'zのBの字も出たことがなかった。弁当って、おかずとご飯の間に仕切りを入れてもおかずがご飯に滲んで、それが美味しかったりするじゃない。弁当のみならず、そうやってみんな滲み合いながら繋がって生きてるんだなあとか思うじゃない。でも僕とB'zは全く滲まなかったのだ。そんなこともあるんだなあと思っていたのに、遂にBユZ好きな人とこのホームページで繋がってしまった。ホームページって凄い。

 でもこんなにも死体死体だらけのメールやリアクションが来るんだったら、あんな日記を書くんじゃなかった。なんて書いても、悪いのは自分なのだ。書いた分だけ、いや、何倍にもなって返ってくるのがインターネットなのだ。ということを再確認。とても勉強になった。が、何にせよ僕のコンピュータは今日、人体の不思議という言葉に包まれてしまい、生きた心地がマジでしませんでした。メールをチェックするのがこれだけ怖かったのは、初めてです。こんなに死体という言葉に囲まれるならば、まだ四六時中「下衆ヤバ男」につきまとわれたほうが幸せです。というか、下衆さん、俺、下衆さんまみれになりたいっす。

 是非読んでもらいたいものがあります。スピッツのインタヴューです。去年の12月に関西版ぴあに掲載された『スーベニア』のアルバム最速インタヴューです。8ページというぴあとしてはかなりのヴォリュームのテキストだったことを含め、とても面白い取材だったので、このインタヴューをエリア限定じゃなく読んでもらいたいなあとつぶやいたところ、関西版ぴあ編集部とスピッツのマネージメントの理解を得られ、このホームページで発表することになりました。感謝と共に掲載させてもらいます。
 是非、読んで楽しんで、そして『スーベニア』という宝物を浴びてみてください。
 ではここからどうぞ。



2005/01/25 (火)

あなたは「人体の不思議展」に行きましたか? 行けますか?

 今日はジム・ジャームッシュの新作映画『コーヒー&シガレッツ』の試写を観るため、六本木に行った。ちょっと早めに着いたもので、ABC(青山ブックセンター)に入った。実は最近、僕はABCに入ることが出来ないでいた。理由はアート・コーナーの写真集が陳列されているところに、「屍系」のミイラみたいなものが陳列されていたからだ。

 死体が苦手だ。そんなの誰だってそうだと思っていた。が、あの『人体の不思議展』が大繁盛していることで、僕の価値観は破壊されてしまった。去年も盛況のあまり会期を延長までしてわざわざ死体を陳列した展覧会は、今年も開催され、しかも今年も飽きもせず会期を延長している。まだやってるんだぜ、あれ。信じらんねー。
 これがどうでもいいものだったら、「1年のうち半分くらい死体の展覧会しているんだから、いっそのこと1年中開催して東京国際フォーラムを死体フォーラムにしちゃえばいいじゃないか」という言葉を吐くことも出来る。しかし、そんなの冗談じゃない。自分のいる街にあれだけあっけらかんと死体が陳列され、しかも触ることが出来て、そこに人がわんさか押し寄せている。大体が女性なんだって、来るの。だから女性は恐い――ということはまた今度。何より死体の話だ。
 人間を知ろう、自分の体のことをわかろう――そんな目的や大義名分が、死体だらけの場所に入ったり、よりにもよって死体をブニュブニュ触るくらい大きなものになるなんて何事なんだろう。って理屈でものを言うつもりはない。というか、そんなこと殆んどの人が考えてないって。みんな、死体を触ったり観たりしたいんだと思うのだ。
 名前は伏せるが、『BUZZ』を作っていた頃のレコード会社の担当に「死体マニア」な人がいた。酒が入ると嬉しそうに死体の話をしたりして、いつも湿った盛り上がりを見せていた。僕もその場で何とか笑う努力をしたが、やっぱ駄目なんだよね。そういう人は、今回の展覧会のような、マニアック度ゼロに「みんなで陽気に死体を楽しみましょう」みたいなスタンスには逆に吐き気がすると思うのだ。でもこうやって死体を「アンダーグラウンドからメジャー・フィールドへ」羽ばたかせると、こんなにも無邪気に人が集まるのだ。わからんでもない。でもでもでもでもでもでもでもさ、恐いじゃない。知らない人の死体は恐いでしょ。恐いもの観たさじゃなくて、その観たさを取り外して、見知らぬ死体はただただ恐いでしょ。だってそこに死体が溢れんばかりに並んでいるというだけで、夜に有楽町を一人で歩いたり車で通ったりすると寒気がするのだ。そういうものでしょ。

 流行っていることも、ずっと開催されてることも知ってたけど、自分の周りにはあれに行った人がいなかった。だから僕にとってはまるでB’zのように「売れてるのはわかるけど、一体誰が聴いているのかまったくわからん」状態だった。けど、遂に見つけてしまった。すげえ嬉しそうに自慢された。楽しいんだって。血管が凄いんだって。血管だけで人間が出来てるみたいな、血管死体があるんだって。あー。書いてるだけで駄目だ。やめます。
 ――でもさ。何ともあるのは何ともあってグロいんだけど、何ともないのは何ともないんだって。会場の中で悲鳴があがったりもしないんだって。みんな笑って死体を指差したり、ムギュって触りながら笑い合ってるんだって。平和な空間なんだって。
 わけわからん。でもみんな普通に観に行って、普通に帰ってきて、普通に生活しているのだ。もしかしたら、僕も死体をムギュしたまんま手も洗っていない人と握手してしまっているかもしれないのだ。あー、手がなくなるまで手を洗ってしまいたい。でも手がなくなったら、僕は1円すら稼げなくなるので、それは出来ない。

 というわけで、得体の知れない気持ちの悪いミイラ系の内臓みたいなのが陳列されている間、ABCに入ることすら出来なかった。六本木通りを歩くのも、ABCとは車線を挟んで反対側の歩道を歩いていた。しかし、もうなくなったという話を聞いたので、久しぶりに入った。久しぶりだったので、いろいろとチェックしたい洋雑誌や写真集があって、楽しかった。最近読んでいなかった何冊かの音楽雑誌も立ち読んだ。いろいろ編集方針が変わったものや、ポリシーが失われて取材対象がガラっと変わった雑誌などもあって、複雑な気持ちになったりもした。いろいろ見ていると試写の時間が近づいてきたので、試写室に向かった。
 が。上映10分前なのに、とっくに満員で入れなかった。ありゃま。ジム・ジャームッシュってまだこんなにも人気があるのか。よくわからないが、仕方がない。事務所に戻った。同じビルに入っているシロップ16gの事務所が引越しをしていて、「手伝うから何でも言って」などと僕が自分で言ったくせにすっかり忘れていたことを責められ、ちょっと気まずい思いをした。「いい感じだねえ」とか不毛にいいムードを放ってから(いや、実際にとてもいいオフィスだったんだけど)、再び打ち合わせに出た。何度か書いたが、僕はマッド・カプセル・マーケッツのマガジン・スタイルの単行本を作っていて、その写真のセレクトをデザイナーとするのだった。デザイナーも友達のような存在なので、あることないこと話しながらマッドの15年分の写真を見ていたら、とても時間がかかってしまった。慌ててデザイナーのオフィスを出て、渋谷クラブクアトロに走った。今日は前から楽しみにしていたインターポールのライヴがあったからだ。
 時計は20時15分ぐらいを指していた。オープニング・アクトがあったなら、始まってちょっと経ったぐらいの時間だ。オープニング・アクトがあったことを祈りながら、クアトロに入った。そしてエレベーターで上がった。4階で扉が開くちょっと前に、外の音が聞こえてきた。ザワザワしている。拡声スピーカーでスタッフが「〜の講演の先行発売がどーのこーの」と話している。僕はすべてを悟った。扉が開いた瞬間、目に入ってきたのは満足げに上気した顔でライヴ・ハウスから出て来たばかりのクラウドの姿だった……………。

 今日は試写会に入れず、ライヴ観に行ったら終わっていた、散々な日だった。

 でも、ABCであれだけハマらなかったら試写観れたし、デザイナーと時間を忘れて写真に見入らなければ、そしてデザイナーの事務所にあったチョコレート・コーティングされた「ちんすこう」があんなにも美味しくなければ、ライヴに間に合っただろう。ツイてなかったわけじゃない。自分が選択した上で外してしまったのだ。うー、でもインターポールは観ておきたかった。ノリたかった。

 知っている人と逢うのが恥ずかしかったのですぐにクアトロから飛び出し、そのままレコファンに入った。そしてLCD Soundsystemの新しいアルバムを買った。

  ◇     ◇     ◇     ◇     ◇     ◇     ◇

 明日は忙しい。打ち合わせを4件入れてるし、discordでレミオロメンの藤巻と摩擦を起こす。その分刻みの合い間にアニメ映画『シャーク・テイル』の試写を入れたりもしている。『シュレック』のドリームワークスが手掛けるバブル・アニメ。声優が、デ二ーロからウィル・スミスからジャック・ブラック、そして何故か「お前は監督だろ」のマーティン・スコセッシまで、『シュレック』に勝るとも劣らずに豪華な鮫ものアニメ。たぶん、ニモとシュレックを合わせた、二兎を追った映画なんだろうな。それ、ちょっと観たい。でもまた満員で入れずに追い払われたら嫌だ。そしたら自分への罰ゲームとして、死体陳列展にでも行くか。

 そんなの無理に決まっている。
 そんなことするなら、銀杏10個食べたほうがまだマシだ。
 
 最後になってしまったが、リキッドルームでのHOLIDAY INN BLACK、先行予約がとても順調に進み、即日で予定枚数に達して終了しました。期待して予約してくれた方に感謝します。ありがとう。パーティーとして窮屈な想いをせずに1日楽しめるスタイルにしたいので、チケットは700枚しか売りません。いろいろ考えたけど、今回はそれでやろうと思います。なもので残っているチケットは少ないのですが、2回に分けて売ります。詳しいことはリキッドルームのホームページを見てください。よろしくお願いします。

 一緒に1日楽しめるようにいろいろ考えています。楽しみましょう。


 


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